イシイ リョウコ さん

「とにかく自由にやらせてくれたから、何でもかんでも。」

     

    ドローイング作品・部分
     
     
     
     
     
     
     

    個展会場では、こんなクッキーも!

    --- 数ある美大の中で、なぜ女子美を選ばれたんでしょう?

    入れさせてもらえたからです。

    --- 色々受けたことは受けたかな、と。

    そうですね、一応、それなりにね。

    --- 女子美に入学されて大学生活はどうだったでしょうかね?

    大学生活は、やっぱり作ってましたね。

    --- やはり制作をされていたと。

    はい。あとは図書館に通って映画を見まくり、画集を見まくり、コピーしまくり。

    --- 何を、コピーしてました?

    何でもコピーしてましたね。女子美の図書館って高額な本も貸してくれるじゃないですか。「これ、貸さないだろう」みたいな本をも貸してくれるので借りたい放題かりましたね。

    --- お気に入りの作家とかいたりしたんですか?

    はい。ピエロ・デッラ・フランチェスカが好きでした。多分ね、10回以上借りたと思います。

    --- なるほど、雰囲気はそこから参考にしたりして。

    うーん、どうでしょうね、でも、あの平面っぽいのが好きなんですよね。

    --- 立体の作家を借りるというよりそういった古典絵画だったり。

    宗教彫刻なんかも借りてました。リーメン・シュナイダーとか借りてましたね。宗教系が好きです。

    --- じゃあ、本の虫になり図書館に行きながら。制作はどうでした?

    どうでしたって、毎日描いてましたよ、私は真面目に。

    --- そうだよね、あーいない、とかではないタイプでしたよね。

    あっまあね。

    --- 課題は役にたちましたか?

    そうですね、一応ね。今に繋がると言うか。

    --- 女子美に入学して、思い出深い出来事とかあります?

    大きなことはないけれど、廊下でごろごろ寝ているとか、そういうのを見ているのも楽しかったですけどね。やっぱり自由じゃないですか、他の大学ではないというか。女子美の自由っプリが好きです。洋画での思いでは、、今でもその当時の友達との繋がりもありますし。音楽やったり。友達がいっぱいできましたね。でも、結局は普段の制作とかが一番の思い出っていったら思い出かな。おっきいの、とかではなくて日常が。毎日、大学に行ってアトリエに行くと友達がいてっていう。

    --- クラブ活動とかされてました?

    クロッキー部員でしたね。不真面目なほうだと思いますけど。その当時のクロッキー部の部長が、関西で個展をすると来てくれたりして。

    --- 洋画に入学して、よかったなというか面白かったなってことありますか?

    とにかく自由にやらせてくれるから、何でもかんでも。これやっちゃいけない、とかあれやっちゃいけないとか一切、言われなかったから、好き勝手に自分のやりたいことがやりたいだけできたから、それが一番よかったかなと思います。立体やろうが、イラストみたいの描いていようがよかったから。

    --- 授業で思い出深いものありますか?

    学科の授業中は落書きしてたからな。でも、それが今に繋がっているところもあるので。そんな時間も無駄にせず、居眠りするくらいだったら落書きしろと。

    --- 去年、女子美で講演をされた感想はどうでしたか?

    1時間半よくもったなと。案外、あっと言うまに終わったな。

    --- 女子美生はどうでした?

    変わらないですね。自分が学生だったときと。よく、話もきいてくれたし、みなさん真面目でしたよ。

    --- 卒業して、人形作家の道を歩むというか、なぜでしょう?

    ずっとイラストみたいなかんじで、課題とか落書きとかでかき続けていてでまあ、その延長線上で卒業してからも描き続けて。ちょこちょこイベントとか展示とかに参加して。そんな時に思いつきで「あ、人形作れるかも」と。作ってみよっかなーくらいのから始まり、つくってみたら面白いのができて。そしたらみんなが面白がってくれたから調子に乗ってそのまま作ってます。

    --- ドローイングも描きつつ、人形を作る、そのテクスチャーの違いというのは?

    どうかな?やっぱり人形は手に持てるというか。絵だけだと、額の中に平面で納まっているんだけど、私の人形は基本的に平面じゃないですか。自立もしないし。絵の延長、絵から抜け出てきた人形、みたいな。

    --- 基本的に平面ね、すごく分かりやすい。

    ドローイングの延長線上に人形がでてきたの。たまたまですね。この先はまだ分からないですけどね。

    --- 人形の不思議な世界にはストーリーはあるんですか?どこからイメージが沸くんでしょう?

    そのまま絵からになるのかな?絵でできたものをそのまま人形にできるかな、というところから始まってくるんで、絵も普段何にも考えていないんですけど、勝手に手が動く、という感じなので。人形は同じような感じ。最初に完成図があって、この通りに作ろうってことはまったく無くて布をぱーっと広げて、思いついたらラインで、ラインだけかいて、もういきなり作るかんじでやってるんで、人形もドローイングみたいなもんですかね。あとこういうモチーフになってゆくっていうのは日常と、例えばティーカップの中から女の子が出てるとかだと、この中に女の子が入っていたらかわいいかな、ぐらい。

    --- 学生時代たくさんみたという映画からヒントとかは?

    どっかにあるんだろうけど、この映画の中に出てくるこの子がかわいいからこの人形つくろうとかは、ほとんど無い。映画を見て、何か自分の中でそれを処理して、整理して、それかいつかポッと作品に出てくるみたいな。1段階2段階3段階くらいあってそこからでてくる、形になる、直接そのまま影響されるってことはほとんど無いかも。関節的にはあるんだろうけどね。

    --- マイブームなんてあったりします?

    今、ここ最近かぁ、何が好きかな。

    --- レモンピールのハチミツ漬けとか言ってもらえるとイメージ的にはありがたいんだけど。

    食べ物でもいいのね?食べ物ならあるよ。四万十川のりせんべいが好きです。

    --- 何それ?おせんべいに、のりが付いてるの?それとも、のりがせんべい状なの?

    おせんべいにのりが入ってるの。岩のりみたいのが入ってるの。八王子のデパートに売ってます。京都のお店のです。

    --- カレーも好きだったよね?

    カレー部の部長でした。

    --- お料理なんかもするの?

    全然しません。しそうってよく言われますが。ティーパーティーとか、イベントは私がやるわけではなくてやってくれる人がいるんですよ、いっぱい。周りに。

    --- それも、イッシーの人柄だね。やってくれる人がいっぱいいるってないよ、世の中で。本当に、あなたの人柄よ。今の制作を通して、世の中と通づるというか、そういう点て感じたりします?

    やっぱり自分の作品を気に入ってくれる人の傾向とかを見てると普通のものじゃないものがみんな好きなのかなって思います。ちょっと変なところがあるとか、そういうものが好きって人は好きっていってくれる人は多い。単純にかわいいものが好きとかキレイなものが好きってひとはあまり、、、なんで。今の世の中、求めているものが複雑なんじゃないですかね。

    --- ワークショップをしたりするでしょ?普段、一人で制作してるのと、ひとと一緒にワークショップをしたりすることとでは見えてくるものは違います?

    そうですね、みんなでやるってのは面白いかな。ひとりで黙々と作って展示に出すって感じだから、それまではほとんど自分の作品を作っている最中のものを見られないし、やっぱりワークショップとかやってるとみんなでしゃべりながらとか作ってるから出来上がってゆく過程とかもみんな、ちょっとずつ違うから面白いし。

    --- 映像とかもあるんだけど、これは?

    やっぱり作ってくれる人がいるので。人頼みで。ライブとかも知り合い。今回やってもらう人も知り合いの知り合い。いい人を連れてきてくれるので。

    --- ライブもすぐにソールドアウトですもんね。今回の展覧会のタイトルというか、特別な思いみたいなものはありますか?

    肖像画っぽいのをやりたいなと思っていて。誰って言うわけじゃないんだけどひとつ、肖像画みたいのが一番にあって、そこから。肖像画がテーマでした。基本的には同じなんだけどもそこにプラスαでそこに違うものをなにか付け加えてゆくからいいのかな、という気がします。

    --- 何か、コメントをお願いします。

    大学時代は時間があるからね。今、私は制作しているんだけど、でもやっぱりどこか追われてる感があって。仕事ってこともそうだけど展示があって、次がいつあるとか先々まで決まってたり。大学の時ってもっと自由な時間があるから自分で時間を作ってやれるだけのことはやったほうがいい。めいっぱい時間を使って。とにかく制作をした方がいいと思う。映画を見るでもいいんだけど、最終的に自分に繋がる事を自由になる時間を使ってやったほうがいいと思う。なかなかそういう時間は戻ってこないと思うので。もったいないと思うの、ダラダラしてたりするのは。ダラダラはいつでもできるから。旅行に行くでも何でもいいんだけど、何かをやってたほうがいい。今の自由になる時間を使って。

    イシイリョウコ展個展会場にて
    聞き手:高橋唐子
    2007年8月28日


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