生命の樹が描かれたインド更紗には、多くの動物が集う様子や周囲に爛漫と咲き誇る花々が描かれています。1本の樹から生み出される樹液や実、花などを求める昆虫やそれを獲物にする動物たちなど豊かな自然の営みが表現されています。一方ペルシャの更紗にはミフラーブ（メッカの方向を示す壁龕）の中に生命の樹や草花が整然と配されており、厳格な戒律を重んじるイスラム教の精神を反映しているように感じられます。日本では生命の樹は「立ち木模様」として小袖の背面に大胆に配されます。美しい樹形と花を愛でる文化を背景に洗練されたデザインへ昇華しました。

クリシュナ物語図模様更紗　壁掛

18世紀　インド

エジプトのキリスト教徒であるコプトの人々が愛用した衣服にも生命の樹のモチーフは現されています。旧約聖書「創世記」に生命の樹は登場し、アダムの墓に植えられた大樹（生命の樹）からキリスト処刑用の十字架が作られたといわれており、キリスト教と生命の樹は深く関わっています。しかし生命の樹にまつわる神話はキリスト教文化だけでなく、バビロニアやアッシリアなど古代オリエント文化にもみられ、聖樹である棗椰子は栄養豊富な実を授けてくれる豊穣と繁栄の象徴でした。やがて近代のヨーロッパやトルコでは洗練された唐草模様なども取り入れられ華やかでロマンティックな意匠として変容し好まれました。

聖樹模様綴織　裂

6-7世紀　エジプト（コプト）　

「クリシュナ物語図更紗」の主人公であるクリシュナ神の物語をアニメーション制作いたしました。

制作者

山本紗矢香（2011年度本学卒業生)

駒崎友海（2013年度本学卒業生）

監修者

村田朋泰

（本学デザイン・工芸学科准教授）

クリシュナと毒蛇

山本紗矢香

ヨーロッパからイスラム文化圏さらにインド、アジア、日本へと波及した生命の樹とそれらを取りまく思想ついてご講演いただきます。

日時

１０ 月４ 日（土）１３：００ ～ 1 6 : 0 0

講師

鶴岡真弓（多摩美術大学教授/芸術人類学研究所・所長）

杉浦康平（グラフィックデザイナー・神戸芸術工科大学名誉教授）

司会

原　聖（本学教授・図書館長）

定員　120 名　　申込必要

Ｂ４サイズ程度の市販のバックに、染料で生命の樹を描きます。ウール生地に生き物をスタンプし、そこに刺繍をあしらい、綿をつめてブローチに仕立てます。

日時

９ 月２３ 日（祝・火）　１４：００ ～ 1 6 : 3 0

講師

野田はな子（文化服装学院生涯学習講師）

山下ちか子（本学デザイン・工芸学科非常勤講師）

対象　小学生

材料費　2000 円　

定員　20 名　　申込必要

女子美染織コレクションから選りすぐりの柄をプリントした布をご用意します。好きな布でくるみぼたんをお作りいただけます。ワンポイント刺繍もできます。

日時

9 月1 4 日（日）１３：００ ～ 1 6 : 0 0

9 月2 7 日（土）１３：００ ～ 1 6 : 0 0

作業時間　20分

材料費　1個100円

定員　なし　申込不要　随時参加可能

当館学芸員が展覧会の解説を行います。

日時

9 月1 3 日（土）１４：００ ～１時間程度

9 月2 8 日（日）１４：００ ～１時間程度

参加費　無料（ただし入館料は必要）　　
定員　なし　申込不要

出品作品全70点を掲載。高精細印刷で染織品のディティールを再現しました。

2014年9月発行

A4変形フルカラー94ページ

定価：2000円

女子美生価格：1500円

女子美術大学美術館が所蔵する染織コレクションは、エジプトのコプト裂をはじめ、アンデスの染織品、インドの更紗、日本の小袖など世界各地の染織品からなり、その規模は国内最大級です。
この度、当展覧会を記念して、これらを元に生命の樹をテーマにしたミュージアムグッズを作りました。本学学生デザイナー達が企画から制作までを手がけた女子美のオリジナルグッズです。

<ラインナップ>

リップバーム　４種

グラス　大　５種

グラス　小　５種

ブロックメモ　３種