石版石 製版プロセス
- 版面に水を湿す
- 金剛砂をのせる
- 水を振りかける
- 石と石で磨く
石の上に金盤で磨く
※1回30分 途中水、金剛砂をかける
〈古い絵〉チンクターを塗って前の絵が研磨されたか調べる
金剛砂のメッシュを変えるとき 荒い金剛砂を十分水で洗い流す
♯80→100→120→180
研磨
第一 荒砥 ♯80 石と石 石と金盤 水と砂を加えながら研く
30分
↓
砂→泥 (石が削れて砂と一緒になったもの)
摩擦する音が変わる
第二♯100〜120
第三仕上げ♯180摩擦音がザラザラ→スラスラに変わる
↓
磨石で滑らかに平滑に磨く(砂が残らないように水で流す)
砂目立て ♯180で砂目立て
石と石 石の上に金盤で擦る
金剛砂をたっぷり水で均一に均す
↓
砂が潰れて泥になった瞬間にやめる→音で確認する
摩擦音 ザラザラ→スラスラ
転写用 筆ペン専用 砂目立て♯240
1 版材と原理
石版石--ドイツ、ケルハイム地方ゾルンホーフェンに産出する石灰石。炭酸カルシウムを主成分とする緻密な石灰質の水成岩、多孔質で、親油性、親水性がある。色により硬度、品質を表す。
暗灰色--硬度、良質-------- 青色、濃灰色。彫刻石灰、ベタ、描画に適す。
明灰色--中度、最良質------中灰色、薄灰色。石版画に最も適した品質。
淡黄色--軟度、やや良質----暖かい黄褐色。かなりの階調を表すことが出来る。
原理
A油成分(クレヨンなど)に含まれる脂肪酸が石版石--炭酸カルシウムに反応、水に不溶解の脂肪酸カルシウムを作る--親油性--インクを受け付ける画線部
B硝酸ゴム--硝酸とアラビン酸(ゴム)が石灰石に反応、脂をはじく、アラビン酸、アラビン酸カルシウムを作る--親水性--水を受け付ける非画線部
◎硝酸は炭酸を遊離させ、順々に石灰によって飽和され同時に石版面の一部を溶かし(腐食)わずかに削る。硝酸によって油成分の脂肪酸が遊離する
2 主な材料、用具
- 研磨材----金剛砂(カーボランダム) --荒研ぎ----♯100 ,120 仕上げ----♯180--砂目立て--♯180 ,240
- 描画----ダーマート鉛筆、解き墨など
- 硝酸ゴム 硝酸とアラビアゴムの混合液を用いる。
硝酸ゴムは硝酸の量の違う濃度のゴム----3種類を使い分ける。
No.1 エッチ液(2%液) ゴム30cc----硝酸5〜8滴 描画後に使う
No.2 エッチ液(10%液) ゴム30cc----硝酸20〜25滴 製版に使う
No.3 エッチ液(20%液) ゴム30cc----硝酸30〜35滴 随時使う
○描画の状態、使用する油性によって、No.2エッチ液、No.3エッチ液は混ぜて使う
- バット液--加筆用の再生液-------酢酸30%液(市販の酢酸を3倍に薄める)
- その他描画、製版、刷りの材料、用具は通常と同じ
ヒルマー、エーゲンラッカーは使わない
3 描画
- 版の周りを4cmの幅(前後のみでも良い)No.2のエッチ液で止める。
- クレヨンの描画 淡い調子から徐々に濃い調子に描いていく。〈クレヨンの粘着性〉クレヨンで描く--削る--クレヨンで描く--繰り返す。
- 解き墨の描画
○墨流し------------水または溶剤を必要な形に垂らし、その上からよく解いた解き墨を垂らす。
○解き墨に付加材を用いる----------1_水性解き墨--溶剤、解き墨--アルコール、解き墨--炭酸水
2_油性解き墨--水を加える、解き墨--乾かないうちに砂を振り掛ける。
ブラシング--------油性解き墨を使う。水性解き墨の場合でもドロッとするくらい濃く溶かす。
- 描画終了後の処理
よく乾いた後--ストンパウダー、ラズンをしっかり塗る。
解き墨----出来るだけ長く放置して、濃淡に応じてNo.2エッチ液、叉はNo.3エッチ液を作用させる。クレヨン--No.2エッチ液、No.3エッチ液は強いので使わない。
全部描き終わったら前面にNo.1エッチ液を塗りウエスでよくむらなく乾拭きする。
4 第一製版
- 水分のない布を使い、プリントクリーナーで描画部分をきれいに洗い落とす。
- 水分のない布を使い、製版インクとチンクターをよく混ぜ(インクター)、のばしながら塗る。塗りにくい場合はテレピン油からプリントクリーナーでのばして塗る。
- インクターが乾いたらラズンをふりかけ、全体によく擦りこむ--粉を払う。
- スポンジを使って水で硝酸ゴムを洗い落とす----描画部分を洗い出す。
- 修正 汚れ落とし----版面をスポンジで拭きながら磨石棒、カッター、ニードル、スクレーパーなどで削る。
○硝酸ゴムによる微調整----No.2エッチ液、No.3エッチ液を筆などを使って塗る。
○腐食による削除又は減らす方法
調子を飛ばして薄くしたい所は左手にスポンジを持ち、右手で硝酸ゴムを塗りながら水拭きを繰り返し、適当な濃さまで薄める。(硝酸ゴムをつけっ放しにしないこと)
- No.1硝酸ゴムNo.1硝酸ゴムを塗り、ウエスでむらなく乾拭きする。
5 第2製版
- 水分のない布を使い、プリントクリーナーで描画部分をきれいに洗い落とす。
- 水分のない布を使い、チンクターをのばしながら塗る(完全に乾かす)。
- スポンジを使って硝酸ゴムNo.1を水で洗い流す。
- 製版インク盛り----皮ローラー 力を入れて早く転がすと汚れを巻き取る。 ゆっくり力を入れないで転がすとインクがのる。
- 試し刷り----試刷り後、製版インクを少なめにして盛りなおす。
- ラズン、ストンパウダーを軽くふりかけ全体に擦りこむ。
- 修正、調整----第一製版と同じ。
- 硝酸ゴムNo.2エッチ液を前面に付け腐食する----1分後、水拭きしながら素早くローラーを転がして地汚れを取る。スポンジを使い水でゴムをきれいに落とす。
- 版面保護----版面を乾かし、硝酸ゴムNo.1を全体に塗る。
6 本刷り
- 本刷りまでに一日以上置く。(長く置いた方が、ゴムがよく効いて版は安定する)
- 単色刷りの場合はインク盛りを多くした方がよく圧力も強い方がよい作品になる。プレス機を回す速度もゆっくりの方がきれいにつく。