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水性木版技法 Wood block prints

1 下絵の作成

(1)着彩した下絵を用意する。線画よりも面を意識した下絵の方が版は作りやすい。

(2)下絵が出来たら、版の数だけ、例えば4版で制作するなら4版に分解して、メモ程度で良いので書き留めておく。ただし、版の重なりをよく考え、出来るだけ合理的に4版におさまるようにすること。



2 転写法

■下絵をマットフィルムにへ転写

(1)作成した下絵にマットフィルムを重ねる。そのとき、画面の右上とフィルムの右上とを揃え、マットフィルムの左側と下側に余白が出来るようにする。

(2)フィルムを下絵に固定し、ズレないようにしてフィルムに鉛筆で下絵を写す。同時に、かぎ見当と引き付け見当を、画面の枠から4cmの位置に定規で描き入れる。


■マットフィルムから版木への転写

(1)下絵を写したフィルムを、裏返して版木に固定する。このときは画面の左上と版木の左上を揃え、版木の右側と下側に見当が入るようにする。

(2)ズレないようにして、数版に分解したメモをみながら、カーボン紙を挟んで、必要な部分だけ版木に写していく。

(3)全ての版に見当を定規で正確に写すこと。




3 版の彫り方

*全ての版に下絵が正しく転写されているかを確かめてから彫り始める。(左右の方向、見当の位置をまちがえないこと。)

*彫刻刀のタッチを出したい場合は、あらかじめ版に薄墨を塗っておくとよい。(ただし墨が濃すぎると写した線が消えてしますので注意。)

*見当は見当ノミで彫る。

(1)輪郭線及び墨線等は、はじめに版木刀で斜めに角度をつけながら刃を入れていく。全てが入れ終わったら、次は逆の角度で刃を入れる。


(2)図のように版の周りを彫った後、いらない部分を丸刀(駒透)や、さらいノミで彫り拡げる。

さらう幅は、版のまわり3〜4?程度でよい。

彫る深さは、版木の2層目が出てくる程度。



4 刷り方

■和紙の湿し

乾いたままの和紙ではきれいに刷ることが出来ないので、以下の方法で紙を湿す。

(1)ボール紙を水刷毛で十分に湿らす。(両面)

(2)その上に新聞紙を敷き、湿らす。(片面でよい。)

(3)和紙を2枚ずつ、中表にあわせて(2)の新聞紙の上に置く。このとき和紙には直接水をやらないこと。

(4)再び新聞紙を重ね、水刷毛で新聞紙を湿らせ、間接的に和紙に水を与える。

(5)刷る枚数分和紙を湿らせたら、最後に両面を湿らせたボール紙を重ねる。

(6)ビニールシートで包み、最低30分以上そのまま置いておく。




■刷る時の注意点

(1)原則として、薄い色または明るい色から刷り始め、濃い色や黒などは最後に刷る。逆に刷り進んで行くと先に刷った色がにじむ場合がある。

(2)和紙に直接バレンを当てずに、必ず当て紙(ロール紙など)をすること。

(3)バレン(特にボールバレン)には、まめに油(椿油・オリーブ油)をつけて常に滑りのよい状態で使用する。

(4)大きなベタ面などは、最初に全面を軽く刷ってから、部分的に色のつきが悪い所を刷って行く方がよい。

(5)刷っている途中で和紙が乾いてきた場合は、水刷毛か霧吹きで和紙の余白の部分とそこに重なる新聞紙の部分のみを湿らす。既に刷ってある箇所を湿らすと色がにじんでくる場合があるので、注意すること。


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