中央区明石(女性・66歳)築地本願寺あたり:
本願寺に沿って流れる静かな川沿いの通りに、粋な家
の玄関の格子戸に季節になると「東おどり」を知らせる紙が貼られ、この辺り
に色を添えました。又、聖路加病院あたりは戦後駐留軍が使い、私共は利
用出来なくて、近くの旧館の古い平屋作りの病院に通いました。その裏手の
隅田川沿いの広い敷地には屋敷がありました。我が家の前の大通りを隅田
川に向って少し歩くと佃の渡しがありました。小さな橋を渡ると、そこが渡船
場でうき船のようになって、絶えずゆらゆらしていました。橋のたもとに、「佃
の渡し」とかゝれた小さな石碑がありました。
絵:小野寺美夏 築地本願寺には初めて訪れたが、外観と内装のギャップに驚かされた。
琥珀色の壁に、中央の長い階段とそこを行き交う人々を見て、その景色は今も昔も変わっていないのかもしれないと考えた。