中央区日本橋・日本橋 天茂 加藤 住子 87
いずれはなくなってしまう家かと思うと、さびしい気が致します。一階に降りて
又、つくづくと家を見せて頂きました。関東大震災が祖父からのれんを譲ら
れ、父に取って初仕事、天秤を担いで魚河岸に自分で仕入れに行き、家に
帰ってすぐぐらり、道路が狭かったので、表通りの反対側から出火。こちら側
に倒れて来たので一番早い火災だと父から聞いております。これが幸で、生
後四日目の私を母が抱いて祖母の手を取って常盤公園に逃げたそうです。
まだ道はすいていたので、歩きやすかったと母から聞いております。
絵:佐竹美紀 古くから、今も変わらず多くの人で賑わう日本橋。
そんな町を描いているとなんとも不思議な感じがしました。