ごあいさつ

ごあいさつ About 110th Anniversary

本学の役職者より110周年記念のメッセージをお届けいたします。
学校法人女子美術大学
理事長 大村 智
学校法人女子美術大学
理事長 大村 智

女子美術大学は、我が国最初の私立の美術学校として1900年に創立され、本年110周年を迎えます。
設立の中心的役割を担った教育者横井玉子は、日本初の男女共学の理念を持つ熊本洋学校で学び、キリスト教の「人は平等」という精神と「美術の素養」を身に付けていました。設立当時、女性の社会的地位が低く社会的活動が極めて限定的であった時代において、「女性は女性特有の美術的性情および技能を有する」「女性に美術的教育を授け、女性の特長を発揮させ、女性の特能をまっとうさせることが今日の急務である」との強い信念を持ち、「芸術による女性の自立」「女性の社会的地位の向上」「専門の技術家・美術教師の養成」を建学の精神として掲げ開校しました。
今日までの110年間、本学は先人達が継承してきた建学の精神の具現化を図り、女性のための自由と創造の場を切り拓き、美術界をはじめあらゆる方面で活躍する女性リーダーたちを輩出してきました。この先人達の根底にある不撓不屈の精神、これが女子美の誇りであります。
女子美の使命は、絶えず変化するいかなる時代においても、「芸術に関する最高の理論および技術を教授研究し教養高く芸術的創造力の豊かな女性を育成すること」であります。この使命を果たすため、本学では創立110周年を機に2010年4月、女子美術大学、短期大学部、付属高等学校・中学校を新たな教育組織に編成するとともに、杉並・相模原両キャンパスの整備事業ならびに次の記念事業に取り組んでいます。

  • 創立者の名を冠した奨学基金の創設
  • 杉並キャンパスにおける歴史資料館および講演会や学会など多目的に利用できる110周年記念ホールの設置
  • 付属高等学校・中学校の新校舎に導入する教育用機器備品のより一層の充実

今後も女子美は、創造性豊かな独自の世界を切り拓いて芸術の発展、ひいては社会の発展に貢献して参ります。卒業生の皆様をはじめ多くの方々にご支援を賜りたくお願いいたします。

女子美術大学 / 女子美術大学短期大学部
学長 佐野 ぬい
女子美術大学 / 女子美術大学短期大学部
学長 佐野 ぬい

女子美術大学は1900年に東京の本郷弓町(現文京区)に創立され、今日まで110年間、「女子」の「美術大学」という日本で唯一の存在として、優れたアーティストやデザイナー、教育者などを輩出してきました。
創立以後、現在まで、社会状況は大きく変化してきましたが、本学は一貫して建学の精神に基づき、その時代時代の要請に応えるべく改革を重ねてきました。

この110年という節目の年には、校地の立地を活かすべく「芸術を社会に広める杉並キャンパス」「芸術を深める相模原キャンパス」というコンセプトを掲げ、芸術学部および短期大学部の教育組織を改組します。そして、現代の高度化し多様化する美術分野に合わせ、教育内容をさらに充実・発展させていきます。この計画に伴い、これまで相模原キャンパスで教育を行ってきた芸術学部の新たな学科を都心の杉並キャンパスに開設します。

いま、女子美術大学が目指している教育は、すべての学生が持っている能力を最大限に引き出し、それをプロフェッショナルとして社会の中で生かすことができるよう育てていく教育です。女性のみの環境は、自らの可能性に限界を設けず、何事にも主体的に取り組めるチャンスに恵まれています。また、大学が取り組んでいる地域や企業と連携した数多くのプロジェクトは、学生が大学で学んだことを社会に還元し貢献する機会となり、実践的な教育の場となっています。さらに、充実した就職支援プログラムにより、学生たちが卒業後に専門性を生かしてキャリアを築いていけるようしっかりとサポートしています。

卒業生には海外で活躍している方もたくさんいらっしゃいます。11月に開催する創立110周年記念式典では、海外で活躍する卒業生の業績を顕彰いたします。今後も卒業生には国内にとどまらず、世界の様々な国や地域で実力を発揮していただきたいと思います。
女子美術大学の今後の飛躍へ向けて、この記念式典をはじめとする110周年記念事業を催しますので、皆様のお力添えをいただければ幸いです。

女子美術大学 付属高等学校・中学校
校長 継岡 リツ
女子美術大学 付属高等学校・中学校
校長 継岡 リツ

2010年は女子美術大学創立110年の記念すべき年であります。この記念の年に杉並キャンパスでは、大学芸術学部の新学科が立ち上がり新生女子美がスタートします。そして同じキャンパスにある付属高等学校・中学校にとっても新校舎である3号館に移り、新教育体制で出発する大切な年になりました。この新体制で中学校は1クラス当たりの人数を少なくし1学年3クラスから4クラスに再編し、生徒一人ひとりにきめ細やかな教育を実践します。高等学校は現行の1学年5クラス編成を維持しますが1クラス当りの人数を少なくし、従来より美術の授業時間数を充実させた新カリキュラムに基づき、普通科としての良さを活かしながら、「知性と感性」の両面に力を入れた授業展開を目指します。新校舎は「斬新さと温もり」をコンセプトとした美術大学の付属校にふさわしいユニークな建物です。コンクリートと自然素材の優しさを融合させながら、明るく機能的に構成されています。彫像のあるエントランスギャラリーや各階にあるプチギャラリーは、いつでも作品が展示できます。高度な建築工法が採り入れられた1・2階の普通教室の一部は、可動間仕切り壁を動かすことによって多目的に使える大きな空間に変えることができます。トップライトのあるデッサン室や絵画室、さらにデザイン室、共通工房など作品制作のための実技教室も充実するなど、教育目標の達成に向けて生徒各人の個性を伸ばし将来にわたる可能性を拡げるという考えに沿うものです。こうした恵まれた環境の中で明るく元気に学ぶ生徒は、中高一貫教育の中で各自が夢に向かって女子美の大学・大学院・短期大学部に進学する土台造りをしていきます。その土台造りのために高大連携により大学の先生たちが多角的にサポートしてくれることも、付属校の生徒にとって心強いものです。

110年の歴史と実績の重みは誇りでもあります。今後も女子美術大学の付属校としての特長を最大限に活かし、そこで学んだ彼女たちが自身の将来像として目指す沢山の先輩たちに続いて、その切り拓かれた道を勇気を持って歩いて行けるよう精一杯の応援をしていきます。付属校もあと5年、2015年には創立100周年を迎えることとなります。皆様にはこれまで以上のご支援を賜りますよう宜しくお願いいたします。