制作の記録[2009年]

茨城県立こども病院X線検査室 ヒーリング・アートプロジェクト

デジタルプリントシート施工による空間演出
2008年12月〜2009年3月
茨城県立こども病院 茨城県水戸市双葉台3-3-1

プロジェクトの概要


2008年12月から2009年3月にかけて茨城県立こども病院(茨城県水戸市双葉台)からの依頼により実施した、X線検査室におけるヒーリング・アートプロジェクトは、検査を受ける小児患者の立場になってみた時、どの様に検査室の空間を感じているのかを考えるよう努めながら、「宇宙旅行」をテーマに地球からロケットに乗って太陽系をめぐる宇宙旅行の世界を描いて空間演出をおこなった。制作を進めるに当たって、次の点に留意しながらプランニングを行った。
  1. 検査室に入った瞬間の緊張感をどう和らげるか。
  2. 検査台に上がった時の緊張感をどう和らげるか。
  3. 検査台に乗って身体を固定されながら天井のどの箇所に視線がいくのか。また天井をどういった気持ちで眺めているのか。
  4. 検査機器が作動している間どこに視点が向くのか。またどういった気持ちで検査を受けているのか。
  5. 検査が済み、出口に向かう時の気持ちはどの様なものだろうか。またどこに視点が向くのか。
こういった点を考えながら、実際に検査室の現場で入口からX線機器までの動線を辿って往復し、更に検査台に上がった時の視線の位置を確認し、患者の動線と心理状態を想定した上で、どの位置にどの様なアートが必要かを検討し、空間の演出方法を考えてみた。そして小児患者が検査を受けるときの不安感を少しでも緩和出来るような空間にしていきたいという気持ちでプロジェクトを進めた。
検査室の狭い密室空間には巨大な検査機器が置かれ、検査台に寝て、身体を固定されるという状況は、小児患者に恐怖感を与えかねない。しかし、そこにアートを施すことによって場の雰囲気と空間イメージを変えることが出来るのではという考えの基に、入口から検査台に向かう壁面と天井に、アートを施工し、検査室の空間全体に宇宙の世界を演出し、宇宙旅行に出発するようなイメージ空間の企画を立案し、構想を練った。
このイメージに基づいて、色鉛筆で描いた作品をデータ化し、それをデジタルプリントグラフィックスにして施工することで、2009年3月21日完成した。

プロジェクト進行過程


2008年12月24日
茨城県立こども病院X線検査室現場視察 打合せ
2009年2月9日 茨城県立こども病院X線検査室現場視察 アートのテーマ原案打合せ
2009年2月16日 茨城県立こども病院X線検査室アート案病院スタッフに確認
2009年2月 17〜28日 茨城県立こども病院X線検査室アートの修正
2009年3月2日 作品データ完成
2009年3月11日 茨城県立こども病院X線検査室現場視察 アートの色調確認、画面構成の最終確認
2009年3月20〜21日 茨城県立こども病院X線検査室 デジタルプリントシート作品施工

制作 大学院生 1年3名、2年1名



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