制作の記録[2004年]

介護老人保健施設セアラ逗子
居室前外壁ヒーリング・アートプロジェクト

2003年11月〜2004年4月

神奈川県逗子市久木の介護老人保健施設セアラ逗子(併設施設センペル逗子クリニック・グループホームはなもも)は、2003年5月5日に新規開設をした。1階から5階までの各階に飾る絵のトータルコーディネイトの依頼を受け、第1期として2002年11月募集から2003年搬入、設置までを完了した。内容は木製パネルにアクリル絵具による絵画の設置が26点、柱にデジタルプリントグラフィックスによるもの6点、受付の下がり壁2個所とし、施設の特質から考え、各フロアのテーマは、「日本の風景」「花、植物」「海」「動物のいる風景」としなつかしい風景が演出される様に配慮し、各々のグループの絵を描くにあたり、さらにサブテーマをたてて制作をした。参加学生は総勢62名で各グループは2名〜5名でおこなった。

今回、第2期目として、3階の居室前外壁の壁画制作の依頼を受ける。3階部分の2方向に関しては、コンクリート壁になっているところがあり、空しい空間になっている。窓に目をやった時に、額縁の絵が見えるような空間を演出することにより、窓の向うに広がる風景を楽しんでいただければとの思いで制作に取りかかった。方法として、デジタルプリントグラフィックスの手法をとり、5センチ幅ほどの蒲鉾型のアルミの額縁を施し、雨風にさらされても汚れがつかないシートにプリントすることにした。

2003年11月募集を開始し、学部学生4名、短期大学部学生3名がボランティア参加し、2004年4月17日搬入設置するまでの間、現場の視察、テーマ検討、アイディアスケッチの確認、お互いの表現確認等をしながら、昼休みと春休みを利用し、2週間〜3週間間隔の割合でミーティングを持ち原画制作を行った。3階の外壁のテーマを『なつかしい風景』とし、2個所の各々のサブテーマは「汽車の走る風景」3点と、「いつか見た風景」6点とした。

原画サイズは36cm×36cm/36cm×39cmとし、原画の状態では大きさの把握がしにくいので、OHPプロジェクターを使用し、原物に近い状態を壁面に映し出しながら確認した。完成した原画をスキャナで入力し、調整をし、試作と色校正を繰り返し、業者による施工を完了した。デジタルプリントで150cm×150cm及び110cm×120cmに拡大し、それに額をつけて設置した。

玄関エントランス部分テキスタイル作品設置

玄関部分の大きなホールには、2階部分までの吹き抜けの空間があり幅1〜3m長さ5m程の布等のテキスタイル作品が展示できる設備を用意してある。第1期の2003年5月オープニング時に展示した作品(1名・作品数3点)に変わり、2期目(1名・作品数4点)3期目(4名・作品数4点)と作者を変えて作品を提供してもらっている。作者の教員、学生共にヒ−リングアートの必要性を理解し、快く作品を展示していただいている。また、布の柔らかさと見た目の暖かさで訪れる方々からの評判も良く作者も喜んでいる。こちらの企画は毎年、色々な作品を展示できるので訪れる楽しみにもなっている。

まえへ インデックス つぎへ