制作の記録[2007年]

東京女子医科大学病院 小児病棟ヒーリング・アートプロジェクト

東京女子医科大学病院 東京都新宿区河田町8−1

プロジェクトの概要

2006年に東京女子医科大学病院から、本学にヒーリング・アート制作と設置による環境整備の依頼を受け、小児病棟内部の各ドアの色彩計画およびデジタルプリントを使用して、ナースステーションのカウンター側面と病棟通路の収納棚のアート施工を進めたが、2007年6月からは、それを継続したプロジェクトを立ち上げ、小児病棟プレイルーム、ナースステーションのカウンター上部の壁面、小児病棟入口正面の壁面に設置する作品制作を行った。プレイルームおよびナースステーションのカウンター上部の壁面は大学院生が担当し、デジタルプリントシートを使った作品を8月4日に施工した。また、小児病棟入口正面の絵画制作は、全学的にボランティア制作参加者を募り、B3イラストボードに描いた原画作品を公募した結果、23点の応募作品があり、小児病棟内で小児患者、家族、医療スタッフの投票による原画選出を行った。選出された原画から更にリメイクを重ね、最終決定した原画を基に、F80号のキャンバスを3枚つなぎ(縦112cm×横436.6cm)アクリル絵具で彩色し、大学院生4名、学部学生10名、短期大学部学生8名の共同制作により作品を完成させた。作品を額装した後、9月29日に小児病棟入口正面壁面に設置した。

デジタルプリントシートによる作品施工

プレイルームを楽しい空間に演出し、小児患者が少しでも和む場所になるようデジタルプリントシートを壁面全体に貼ることにした。壁面の一部が鉄製になっているので、作品に登場する動物やアルファベットの形のマグネットシートを用意して、小児患者が自由に貼り付けて、壁面に描かれた動物たちの世界に参加できるよう工夫した。

小児病棟入口正面の壁面に設置する作品の原画制作上の注意点

公募による原画制作を行う際、下記の点について考慮しながら制作していくよう心掛けた。

  • 小児病棟の入口ドアから入ってすぐ正面にある大きな壁面に設置する作品であり、入院する小児、その家族の方々、見舞いの方が、小児病棟に入るとすぐに待ち受けている壁面に設置することを考慮して、病棟に温かく迎える、不安感を取り除く目的の作品を考えた。
  • 病棟のナースステーションカウンター、通路にある収納棚にはデジタルプリントシートを使って2006年のプロジェクトで施工した作品がある。りす、犬、ウサギが中心となって、ねずみ、象、くま、猿、バク、ペンギン、あざらし、魚などが登場して、通路を歩きながら絵本を読み進めるような、横につながっていく画面構成になっているので、小児病棟内のこうした世界観を活かしながら作品を考えた。


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