制作の記録[2007年]

センペル逗子クリニック 人工透析室ヒーリング・アートプロジェクト

医療法人社団清光会センペル逗子クリニック 神奈川県逗子市久木4−25―8

プロジェクトの概要

2006年11月、医療法人社団清光会 介護老人保健施設併設のセンペル逗子クリニックに2007年4月開設の人工透析室におけるヒーリング・アートによる環境整備の依頼を受ける。

人工透析室の壁面、窓、天井、ドアに設置する作品制作と、そのトータルコーディネイトの依頼であり、人工透析の治療機器が並ぶ無機質な環境を、アートによって少しでも精神的に受けるイメージや環境を変えることを目的としてプロジェクトを立ち上げた。2007年6月、全学的にボランティアによる制作参加者を募り、学部学生12名、短期大学学生8名が参加して、共同制作によって全体計画をよく話し合いながらプロジェクトを進めた。

人工透析は腎不全の治療として行ない、機械を通して血液の老廃物を取り除くことで腎臓の働きを代行するもので、治療は1回で3〜4時間かかり、その間患者は仰向けになってベッドに固定されることになる。病状により、週に何回も治療しなければならない患者もいる。この施設で治療を受ける患者の場合、

  • 65歳以上の年齢の患者が多い
  • 併設の介護施設入居者の中にも透析を受ける方がいる。
  • 週3回の治療が必要な患者が多い。

といった状況であったので、空間を考えるに当たっては、医療スタッフと話し合い、 「生命の源、生命力を患者に与えるような空間の演出」をコンセプトとして、全体の統一テーマを決めて制作に当たることにした。 クリニックの立地場所が、湘南の海、逗子海岸の近くであると同時に、山の斜面に沿って立てられた施設であるので、「海」と「大地、緑」の二つのテーマを設定した。 人工透析室の入口を入ると、治療エリアが左右二手に分かれることから、左手窓側のエリアのテーマを「海」、そして右手奥のエリアのテーマを「大地、緑」として制作を進めた。

壁面には自由形態の木製パネルにアクリル絵具で彩色した絵画を設置、窓ガラス、各ドア、天井には手描き原画をデジタルプリントシートに出力した作品を施工することにした。

6月中旬から7月下旬まで、全体計画と打合せと平行して原画制作を行い、9月7日にパネル絵画作品とデジタルプリントシートの原画を完成させた。2007年11月11日、人工透析室壁面に絵画19点を設置し、11月25日、窓ガラス、各ドア、天井にデジタルプリントシート作品の施工を行った。



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