タイトル「障害理解とアートフィールド参画支援の取組」

取組の概要


写真 取組の概要Ⅰ 本プログラムの背景

1.障害理解を巡る社会的ニーズ…アート&デザインへの要請

民族紛争や経済格差、人権問題等の地球規模の問題が発生し、人類の福祉、幸福、環境を損なう事態に至り、我が国の社会にとって大きな問題となっている。障がい者とアートの関係を振り返ると、これまでアートの側は、障がい者の作品からアートの領域拡大の思考法やパワフルなエネルギーを感受する受身のポジションにあった。しかし、今はアートの側から障害理解を深め、障がい者へのアウトリーチによりアートフィールドへの参画を求める時代を迎えている。21世紀の世界が障がい者を含め世界全体で共生を図り、持続可能な社会を実現し、未来を切り拓くにはアート&デザインの独創力・展開力が必要である。

 

2.本学の人材養成目標…人材養成と協働連携

本プログラムで、学生は正確な他者理解を基礎に、各教育機関、障がい者支援施設や特別支援学校とのアート&デザイン交流を通して障がい者と一緒になって活動することにより、障害理解とその認識力を身に付け、障害の困難さを体験的に学習する。このことから障害への共感的理解力と障がい者の社会進出に関するニーズ把握、社会での障壁や課題を統合し、探求する力を備えた持続可能な社会の実現を目指すサスティナブル人材育成を目標とする。そのため、本取組は、NPO組織、自治体等との地域連携並びに国際交流協定校との協働体制も取るシステムである。

 

Ⅱ.本プログラムの基幹構造

1.本取組の目的

学生が小中学校の教育機関や障がい者支援施設等で障がい者への教育プログラムを体験し社会性獲得を行うと共に、障がい者自身のアート制作支援や展覧会等への作品展示等をアウトリーチする。また、アートの表現行為は障がい者の治療効果を持つだけではなく、生甲斐を見出すことにも繋がり、共生する社会の活性化や、障がい者の生活自立支援の活力ともなり、国内だけではなく各国の地域社会等への貢献をテーマとしている。

 

2.障害理解とアートフィールド

本学では、20年以上にわたりアートによる社会や福祉への貢献を目的に、ヒーリングアートやこども感性教育研究を通して、障害(身体障害、発達障害や精神障害)理解への教育普及・学習を継続的に展開して来た。これは、他大学にはない本学の独自性である。

 

3.教育の目的

本取組で学生は、美術専門基礎教育の中で障害理解へのアクセスにより、サスティナブルデザイン等の知識獲得や障害理解とその認識力を高め、地域等の問題解決活動の契機を得る。学生達の活動実践により自己のデザインやアートの学習が社会と融合し、障がい者を支援しアートフィールドを創出することを通して、学生自身が自らの展開力、応用力を高め、学びの質を向上させる。さらに、杉並区域を、障害理解の問題と結びついたアート&デザイン活動のフィールド実習の場として活用することで幅広い学びを保証できると考える。

 

4.教育課程の体系化

美術大学教育を特長づける教育
アート&デザインの現場を利用した実践力の強化目的により体験型授業科目(実地研究、ファシリテーション型、コラボレーション型授業等)を導入実施している。

 

5.障害理解とアートフィ-ルド参画支援教育プログラム

履修プロセスは、学生による障がい者の「アートフィールド創出プログラム」というコンセプトに基づき、各コースを超えた、アート&デザインの学生達の《実践的フィールド》の構築を基本目的として編成される。平成21年度より試行、22年度よりカリキュラムに位置付ける「コア科目」と教養基礎理論・関連演習科目に加え、各コース専門科目を主体に学生が活動するチーム実践型、PBL(problem based learning)型学習等によって構成される。これにより、授業+授業外の現地での実践的学習時間が確保され単位の実質化が行われる。

○コア科目

教育課程開発から「サービス・ラーニング」等の形態をとり「社会福祉学」に加え、「共通プログラムⅠ・Ⅱ」等のコア科目を各コース科目から短期大学必修科目に位置付け、さらに平成23年度には「芸術福祉論」を開設準備する。

○実践型プログラム

講義、演習に加え、ワークショップ、コラボレーション、プロジェクト等表現そのものを主軸とする実践型教育を行う。

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