制作の記録[2006年]

横浜市立大学附属病院外来壁面ヒーリング・アートプロジェクト

プロジェクトの概要

公立大学法人横浜市立大学附属病院(横浜市金沢区福浦3−9)から、病院外来の壁面のヒーリング・アート設置による環境整備の依頼を受ける。本館2階から3階の外来待合の壁面に設置する作品制作と、そのトータルコーディネイトの依頼であった。診察の待ち時間に、診察を受けられる方々や付き添いの御家族、そして医療スタッフの方々の気持ちが少しでも安らいでいただけたらという趣旨で2006年6月、横浜市立大学附属病院外来壁面ヒーリング・アートプロジェクトチームを発足し、女子美術大学と女子美術大学短期大学部の学生総計63名がボランティアで参加して進めていった。

作品のテーマはフロアーごとに統一性をはかるように病院スタッフと検討し、病院の周囲の環境、地域性から「カモメ」、「海」、「横浜名所」、「横浜の名花」をキーワードとしたテーマで空間演出していくことにした。

6月から共同制作によるプランニング、原画作成、検討会を重ね、8月下旬から9月上旬にかけて、自由形態のパネルにアクリル絵具による制作を行い、2006年10月1日に外来2階待合壁面に57点、3階待合壁面に27点の作品を設置した。また、病院の入口にある総合相談・案内カウンター、面会受付カウンターと2階から3階へのエスカレーター側面には、デジタルプリントシートによる作品施工を行った。

自由形態パネルに描いた作品による空間演出

木製のパネルの作品形態は、これまで長方形のものが一般的であったが、ヒーリング・アートプロジェクトでは、その取組の中で自由形態のパネル作品を使った空間演出を試みている。

今回のプロジェクトでも、カモメ、雲、たまごなどの自然物のフォルムや楕円などの形を型紙におこし、それをパネルにしたものにアクリル絵具で描いた作品を設置した。パネルの側面も画面の一部として扱い、丁寧に描くことで立体的な視覚効果を高めるように工夫した。さらにパネル自体の形を自由にすることで作品の表現の幅が広がり、また壁面に自由形態のパネル作品を設置することで、縦横整然と作品を並べ展示するのではなく、壁面全体を画面と考えて構成し、空間演出を行った。



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