参加学生の感想・自己評価[2005年]

国立成育医療センター エントランス ガラス面ヒーリング・アート プロジェクトより
 
大学 デザイン学科3年 学生

ヒーリングアート・プロジェクトに参加して今回で数回目になるのですが、初めて壁画ではなく、エントランスのガラス面のヒーリング・アート・プロジェクトということで、デザイン原画の制作をすべてパソコン(Mac)で行うという、いつもとは少し違った新しい試みでした。いつもの壁画制作では2・3人が組むかひとりひとりが原画を考え制作するといった感じで少人数で取り組み、数点制作することがほとんどですが、このエントランスのガラス面・ヒーリング・アートプロジェクトでは、友達が考えた原画を皆で少しずつ手直しし、一つの作品を作り上げていきました。微妙な違いの何パターンもの図案を何度も何度も話し合って手直しを繰り返し、一点に絞り込むまでに 時間をかけたのでとても素晴らしいものができたと思います。

皆のデザインの良いところは取り入れ、それをどのようにまとめるのかなど最終的に一つに絞り込むまでは非常に難しかったです。また、パソコン上で考えていたのと実際にガラス面に貼ってみるのとでは、やはり全然違うので大変でした。実際に貼ってみないと大きさや色合いなどがわからないので、現場に足を運び実際に目にして気付く点も多かった。特に、色彩は光の具合によって決めなければならないので慎重に色を選びました。

結果として、室内の雰囲気やガラス面を通して見る外の景色とが調和していてとても綺麗な空間になったのではないかと思います。今回の制作では皆で話し合いながら、いろんな意見なども聞け、楽しく制作できたのでよかったです。 ヒーリング・アートを通し、創造活動の喜びを感じ、この感動の気持ちをより多くの人たちに知ってもらいたいと思いました。(制作の記録はこちら

 
大学 ファッション造形学科3年 学生

今回はじめて一つのデザインを共同で考えることがとても新鮮でした。いくつもの案を皆で選び話し合い、それぞれのいいところを合わせていくことで、より病院のエントランスの硝子面の場に相応しく仕上がっていくのが共同制作の一番すばらしいことだと思います。そのために何度か病院の方まで見学させていただき、色々な視点・角度から考えていきました。そこで意外だったのが外と内や日当り具合で硝子面のシ−トの色の見え方が違ったことです。また、病院の総合デサインを担当している方にコンセプトを聞ける機会があり、場を考える上で重要な点となりました。

病院内は、とても明るく開放的な空間で、様々に配置されたア−トの愛らしさや心和む色が印象的でした。きっと、病院にいる子供達が大きくなっても飽きることのない空間になるでしょう。そして、ア−トが少しでも病気を治すうえでプラスになれたらいいなと思います。(制作の記録はこちら

 
大学 メディアアート学科3年 学生

国立成育医療センターは、病院の堅さや怖さというイメージがなく広々とした開放的な中で、明るく治療に当たっている人を見たとき、病院に来たという感じがしませんでした。子供たちに不安を与えない雰囲気作りが徹底的に施されていたことに感動しました。また、大人でも楽しめる空間になっていると思いました。

今回は、既にアーティストの方々の作品がある中での制作となったので、周りの作品の雰囲気や色調を壊さない様にしなければなりませんでした。病院内の作品には、切り絵の様な抽象的花や鳥がとても印象的でした。そのことから、「マチスの切り絵のようなイメージ」でコバルトブルーを基調にイエロー、レッドなどはっきりとした色合いを使い、3〜4色以内で考えていく条件が与えられました。

私たちが施工するガラス面の手前には、抽象的にデザインされた鳥のモビールの様な作品があり、色調がコバルトブルー、レッド、イエローなどで構成されていました。そこで私は、この作品と調和するものにしようと思い、抽象的な表現(三角や六角形などの形を組み合わせた表現)で『太陽と水』をテーマに制作しました。各々の作品を並べて講評し合い、選ばれた作品を違う人の手で何度も改良していきました。そうすることで、自分1人では思い付かない表現や色調を入れることができ、より完成度が高まっていったように感じます。

最終的には、病院の方々の意見によって採用作品が選定され、自分の作品は選ばれなかったのですが、今回だけではなく共同で制作していくことは、精神的な面や表現技法などで自分にとってプラスになる部分が大きいと実感しています。今後も、自分の作品を通して人に喜んでもらえる作品を生み出して行きたいと思っています。(制作の記録はこちら

 
大学 デザイン学科3年 学生

私はこれまでに7回ヒーリング・アートプロジェクトに参加してきましたが、この国立成育医療センターでのプロジェクトは新しく且つ斬新な試みだなあと感じていました。成育医療センターは積極的にアートを環境に取り入れており、その中にステンドグラスも取り入れられるという事に驚きました。

制作の上ではアイデア出し、手直し、検討と皆で段階を踏んで作業していきます。私はステンドグラスという新しい素材に始めは戸惑いましたが、皆のアイデアを見ているうちにこういう表現の仕方もあるのかと新しい視点、発見に気付く事ができました。今は作品がどんな仕上がりになっているのか楽しみでなりません。(制作の記録はこちら

 
大学 絵画学科日本画専攻3年 学生

国立成育医療センターは、今までの病院のイメージを全く変えてしまうような所でした。エントランスから左半分は上の階まで吹き抜けになっていて、とても広々として圧迫感がなく、天井から下げられた鳥のオブジェがゆらゆらと形を変え、その空間を自由に飛んでいるかのようでした。所々にデザインされた形も、原色を中心とした色使いも、思わぬ所に隠された遊べる仕掛けも、どれも楽しく、ちょっとしたテーマパークのような場所にいるような気持ちにさえなりました。廊下などに置きっぱなしにされがちな医療器具等も目に入ることがなく、そんなところも『病院』にいるということを忘れさせてくれるものとなっているのかもしれません。

今回このような空間の一部をデザインする機会を頂き、とてもうれしいと思うと同時にかなり不安も感じました。エントランス部分のガラス面のデザインということでしたが、私が得意とする絵画的な表現よりデザイン的要素を必要とし、色彩も原色の使用を意識したもので、慣れないことばかりでした。形の細部や配色、配置などメンバー全員で何度も見直し、話し合い、修正を重ねていったことで、より良い作品をつくり上げることができたのだと思います。

この作品をデザインする時にイメージしたものは、『風、大空、自由』です。病院の様子を見た時に印象的だった、広々とした感じと、自由にはばたくような鳥のオブジェから、その先に続くイメージとして考えました。ガラスを通して見える空をできるだけ生かし、そこに小鳥を飛ばしたい、建物の中に居ながら、自由に空を飛ぶ鳥のように風を感じることのできるような、そんなものをつくりたいと考え思いを込めてデザインしました。

これから国立成育医療センターを訪れる多くのこどもたちが少しでも治療の痛みや不安を忘れ、親子で楽しく会話したりするきっかけとなってくれたら嬉しいです。(制作の記録はこちら