![参加学生の感想・自己評価[2007年]](images/title05_2007.gif)
センペル逗子クリニック 人工透析室ヒーリング・アートプロジェクトより |
大学 絵画学科日本画専攻1年 学生 |
人を癒す美術って何だろう。 しかし、実際に参加してみると、大変な事の連続でした。私は、病院の人工透析室を担当したのですが、この場所にふさわしくないモチーフ、例えば血を連想させるものや、死を連想させるモチーフはもちろんダメ。まさに相手の気持ちを考えることからのスタートでした。 最初は軽い気持ちでこのプロジェクトに参加しましたが、作業が進むにつれて真剣になっていく自分に気付きました。自分達の手掛けた作品が、もしかしたら誰かの心を癒しているかもしれない、そう思うだけでとてもやりがいを感じます。また、普段出会うことのない人達と協力し合えてとても勉強になりましたし、何より一つの作品を皆で作り上げるという貴重な経験も出来ました。“誰かのために” ”相手の気持ちを考えて“行うこのヒーリング・アートプロジェクトは素晴らしい活動だと思います。大変でしたが充実した夏になりました。(制作の記録はこちら) |
短期大学 デザインコース 空間インターフェイス1年 学生 |
『自ら感じるということ』 ヒーリン・グアートは自分の得意分野を活かして社会に貢献できるというところに魅力を感じていたので、入学前から参加しようと考えていました。そして実際に逗子の病院へ見学に行った時リハビリなどに励む一生懸命な患者さん達を目の前にし、私の祖父の姿と重なりました。私の祖父も偶然にも逗子の施設で過ごした時期がありましたが、まだ北海道に住んでいた私は一度もお見舞いに行くことが出来ず少々悔やんでいました。祖父は孫が遊びに来てくれることを待っていたかもしれない、ここにいる患者さんの中にも同じ思いの方がいるかもしれないと思い、少しでも寂しさを和らげる為に私にも何かできるはずと考え、参加することを決意しました。また医院長先生から人工透析に関してや患者さんたちの状況など詳しく教えていただきました。人工透析という初めて聞く言葉でしたが、週3回一日4時間受けるという過酷な状況に衝撃を受けました。医院長先生が人口透析室は「命の源」とおっしゃった通り、とても重要な空間だということを感じ取ることができました。 そして原画を考える際、理屈や一般論、先入観で描いてしまってはいけないと思い、医院長先生の勧めで鎌倉から逗子にかけての海岸が見渡せる公園に行った時も、テーマが「海」と決まってすぐに水族館へ向かった時も、何に心地よさを感じ、何に不安を感じるか自分の体で感じることに努めました。杉並チームが担当したエリアは窓が大きく比較的明るかったことなど常に全体像を想像するようにも気をつけました。患者さんの目線を確認出来るよう何度もベッドに横たわりました。活動の中では、原画がなかなか決まらず何度も提案したり、戸惑うこともありましたが、先生や先輩を尊ぶ気持ち、患者さんの気持ちを沢山考え少しだけ分かったこと、個々の得意とするもので互いにフォローし支え合うことなど得るものや大切に思うことがたくさんありました。ヒーリング・アートとは施設を利用する人だけでなく、制作する本人も体で感じるものでなくてはならないと思います。(制作の記録はこちら) |
松本歯科大学病院ヒーリング・アートプロジェクトより |
大学 デザイン学科2年 学生 |
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東京女子医科大学病院 小児病棟ヒーリング・アートプロジェクトより |
短期大学 美術コース1年 絵画 学生 |
『ヒーリングアートに参加して』 参加の動機は、入学前から学校の大学案内等を見て、女子美はおもしろいプロジェクトをやっているなと思っていてとても興味を持っていた。病院に飾られる絵の制作などは、このような機会でもないとめったに出来ない事ではないかと参加を決めた。東京女子医科大学病院と松本歯科大学病院に参加した。 グループによる原画検討会では、普段の制作では得られない皆で意見を出し合い作り上げていくと言う体験ができた。東京女子医大の原画では多くの学生が原画を出し、病院関係者の方々の投票で、たまたま自分の絵が原画に選ばれた。 大きいパネルに描くとすると、色がきつすぎたり、生きているくじら自身に木や草が生えているのは不気味だという意見が出たりした。楽しそうな世界をと考えたのですが、どちらかと言うと子どもの視点のみで考えすぎてしまっていた。子どもだけでは無く大人の方や病院の方などいろいろな方に見られるというところまで頭が回っていなかったように思い、病院という場所に飾るという事をもっと意識しなくてはならなかったと思った。また色も原画用の小さなサイズで考えてしまい、壁画になったときにどのようなイメージに変わるかを考えながら制作しなければならない事を学んだ。 それぞれの校地で描いていたが、杉並と相模原両チームの学生が、夏休み後半、広い相模原キャンパスで、大勢で制作をした事も新鮮だった。ひとつの作品をグループで制作するというのは、上の学年の方からいろいろとアドバイスをいただいたり、教えてもらえることが沢山あり、学べることが良かったと思う。病院の白い壁は清潔感はあるが、たしかにここにずっといると寂しくなってしまいそうな感じがしてきそうに思った。 完成した大きなクジラの絵『なかよし』は明るくてそれでいて落着いていて、皆のエネルギーが溢れていて素晴らしい出来上がりと思う。ヒーリング・アートプロジェクトにより、色々なことが体験できたので参加できて本当によかったと思う。病院とはきっと不安になる要素が多い場所です。でも、皆で作ったヒーリングアートが、少しでも患者さんたちの心を癒すことができるのならとても嬉しいと思う。今回の制作を通じて、絵には人の心を癒すことができるとても大きな力があるのだなと思った。自分自身誰かの役に立つ絵に初めて触れ、「ヒーリング」ということ自体に大きな関心を持ち始めた。(制作の記録はこちら) |