今回の展示
2025年9月10日(水)〜11月10日(月)
作品点数:9点
絣(かすり)とはあらかじめ染め分けた糸を使うことで文様を織り表した布をいい、この技法は、一般的にはインドを発祥として、中央アジアから世界各地へと広まったと考えられています。
絣織の技法には、染め分けた糸を経糸として使う「経絣(たてがすり)」、緯糸として使う「緯絣(ぬきがすり)」、そしてその両方に用いる「経緯絣(たてぬきがすり)」の三種類があります。とりわけ高度な技術を要する経緯絣は、インドの他にはインドネシアのバリ島、そして日本にのみ継承されています。
日本における絣の最古の現存作例は法隆寺に伝来する「太子広東(たいしかんどう)」と呼ばれる絹の絣で、8世紀頃、大陸からもたされたものだと考えられています。
江戸時代末期から明治にかけて、絣は生産のピークを迎えました。北陸・越後では麻の絣(上布)、久留米・伊代・大和などでは木綿、そして絹の絣は「紬」の名で親しまれ、結城紬や大島紬がよく知られています。高級織物から庶民の日常着まで、絣の種類は多岐にわたり、人々の生活に浸透していきました。
この展示では、インドの経緯絣、インドネシアの経絣と緯絣、そしてどこか懐かしく郷愁を誘う日本の木綿絣の裂をご紹介いたします。
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