女子美術大学

女子美術大学 | 文部科学省 「平成22年度大学生の就業力育成支援事業」 選定-就業力GP 職業的自立と美大の就業力リテラシーの養成

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取組の背景

1.大学の置かれている状況

社会には、貧困、環境、人権、安全、福祉などの解決困難な問題があり、これらの解決に向け持続可能な社会を目指したモデルを提案し、ビジネスとして 起業し貢献できる人材の養成が必要な時代を迎えています。本学はこの基本的認識から、社会での障壁や課題を統合し、探求する力を備えた社会問題解決型人材 を、従来の産業型人材に加えて新たに育成します。これにより多様な社会の要請を果たし、就業力を向上することが可能であると捉えています。
また、芸術表現は社会性の保持を基礎としますが、本学ではデザイン系の教育分野に限らず、産官学連携によるコラボレーション型授業や実地での学問が活発化 していません。そこで本取組では、2010年4月の本学カリキュラム改革を機に、産官学連携をもとに実社会と密接に関連するテーマについて、学生自身が主 体となり、プロジェクトやグループ単位で体系的に追究出来る教育プログラムを推進します。さらに、これらの人材養成について、プロジェクト型実践学習の強 化により具体的な就業力向上に結び付けます。

2.求められる人材

今日、学生の就業力として学歴のみでは不足であり、学歴に追加してもう一つの実績が必要です。具体的に本学では就業力強化策として、コンペティショ ン(以下、コンペに略す)などの<受賞歴>を高めることで学生の在学中の実績をつくり就業に直結させる考えです。ことに、就業力の基礎となるコミュニケー ション力アップを目的に、学生の授業や授業外での活動を活発化し、<図2>の通り、コンペなどに必要なプレゼンテーション力などを併せて強化します。本取 組の基幹プログラムとなるプレゼンテーションの技法は、美大のみならず、総合大学や理工系、人社系の大学においても重要です。これに加え、本学では〈就業 力リテラシー〉として、グループワークを基に、他者理解、受容力、問題解決力、統合力などが重要であると捉えています。そのため、産官学の連携協働による 「実践型プログラム」として、従来の講義や演習に加え、ワークショップ、コラボレーション、プロジェクトなど表現そのものを主軸とする実践型教育を行い、 職業人に求められる資質能力を形成します。 図2 コラボレーションとプレゼンテーション

3.プレゼンの女子美

本取組では、<図3>に示す通り、従来の取組基盤を明らかに発展させ実践型体験学習の強化を行います。ビジネスの現場で重要なコミュニケーションス キルとなっているプレゼンテーション力などの養成を中心に、就業力リテラシー能力を在学中に身につける手法を取ります。本学は、<プレゼンの女子美>を目 指し、多様な学内コンペを開催することで、自発性と訴求力を養い就業力育成の基盤とします。学生はコンペに挑戦することにより、対外的戦略の策定力を培 い、具体的に仮想的他者を想定することで、自己との差別化が可能となりアイデンティティ確立を導く効果があります。

【教育課程の体系化…美術大学教育を特長づける教育】
アート&デザインの現場を利用した実践力の強化を目的に体験型授業科目(実地研究、ファシリテーション型、コラボレーション型授業など)を導入実施しています。具体的には、本年度よりさらに授業への導入数を増加する計画です。
○コア科目…教育課程開発から「サービス・ラーニング」などの形態をとり「プレゼンテーション概論」に加え、「プレゼンテーション技法演習」などをコア科目とし共通専門科目に位置づけています。
○実践型プログラム…講義、演習に加え、ワークショップ、コラボレーション、プロジェクトなど表現そのものを主軸とする実践型教育を行います。

学生は、専門教育、基礎教養、初年次教育の中で展開される実社会へのアクセスによって、キャリアデザインなどの知識獲得や社会問題解決への契機とし て、女性の子育てと仕事の両立(ワークライフバランス)などへの認識力を高めます。また、多様な活動を展開し、その成果を学習にフィードバックすることが できます。アート&デザインの現場では、コンペに限らず作品展示を目的としたギャラリーとの交渉時や展覧会などの場では、自己作品へのプレゼンテーション が必要となります。学生たちはコンペに参加し、競争による他者を仮想して自らプロセスマネジメントを行います。在学しながら実社会へ参加する体験でしか獲 得できない、考え抜く力や困難な課題を解決する力を育てていきます。
どの美術系大学でも、プレゼンテーションは重要であるとの共通認識を持ちながらも、実際には学生への実効的な就業力支援の域にまで至っていません。本学も 例外ではなく、これを反省し、本プログラムでは大学全体で体系的に取組む共有課題に据えました。就業力育成の基盤にプレゼンテーション力養成を核とし、全 学を挙げて推進する旨を確認しています。 図3 e-コミュニティ形成と就業力リテラシーの養成

4.達成目標

本取組では、<図4>に示す通り、プロジェクトによる実践型体験学習の強化により、学生はプレゼンテーション力を形成し、コンペなどでのグループや 個人での活動実績を積み上げていきます。その具体的な形が<受賞歴>などの達成目標値であり、本学では次の項目を設定しています。 図4 就業力と人材育成

◇プロジェクト型学習の推進

従来は課外のプロジェクト活動が主体でしたが、今後は授業内での取組も増やし産官学のコラボレーションによるプロジェクト数を、現在の68チームから1.5倍に引き上げます。 ◇受賞者数のアップ
受賞者については総合大学をはじめ、個々の大学がこぞってホームページなどで紹介することから自明となり、明快な評価指標となります。従来本学では学生の コンペなどへの参加を積極的に呼びかけてきませんでした。これを改め、授業やSNSの告知力を活用し、個人、プロジェクト、グループなどのコンペなどへの 参加数を高めることにより、受賞者数を現在の1.5倍に引き上げます。

◇社会に採用された作品(デザイン+アート)数
美術大学独自の評価項目であり、企業や自治体、学校機関等に採用されたアート作品、キャラクターやグッズの点数を増加することを目標に、学生の制作意欲を高め就業力を向上します。本学では、産官学連携を活発化し、この採用作品数を現在の1.5倍に引き上げます。

◇学習成果のアセスメント実態調査:学生生活アンケート
意識調査の形態で本学では在学生調査を毎年実施し、入学時から卒業までの内容を入学意欲、学業、進路、学生生活の総合満足度、総合評価に分類し、アンケートにより意識・意見を採取した後、『在学生調査報告書』に纏めて公表し経年比較を可能にしています。

◇卒業後のフォローアップ調査:「卒業生調査報告書」
本学では平成15年度より、本学卒業後の実態調査と意識アンケートを含む調査を卒業生に向けて実施しています。項目は卒業後の進路、転職、進学、大学への 意見などを求める内容であり、『卒業生調査報告書』として毎回まとめて公表しています。経年比較を可能にするとともに、学内の意識改革に向けた基礎資料と して有効性を示す結果を得ています。

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大学生の就業力育成支援事業とは…

就業力GPと称されるこの事業は、文部科学省が、入学から卒業までの間を通した全学的かつ体系的な指導を行い、学生の社会的・職業的自立が図られるよう、大学の教育改革の取組を支援するものです。女子美術大学は平成22年度に選定されました。現在も教育改革の取組を実践中です。