四半世紀以上にわたる日本画材料研究は学生の発想を豊かにし、
表現の可能性を引き出します
四半世紀以上にわたる日本画材料研究は
学生の発想を豊かにし、
表現の可能性を引き出します

世界の絵画材料と比較した時、日本画材料はユニークな特色を持っています。特に粒径の違いによる色彩を表現に利用する天然岩絵具は、千年以上も前から受け継がれ、伝統的日本画の彩色技法や表現の確立と深く関わってきました。本学では、これら岩絵具や大判和紙の製造研究設備が充実しており、近年には市販品にはないサブミクロン・ナノ領域粒子の色彩をさまざまな表現媒体へ応用研究しています。また、安全性の高い女子美オリジナルの人工岩絵具として研究開発された「エコ岩絵具21」は実際に日本画材料店で販売されており、授業では学生自身が製造し、作品制作へ豊富に利用できる環境を整えています。
顕微鏡の世界
独特の材質感を持つ日本画材料は、本学の様々な顕微鏡を通してミクロの世界を覗いてみることで、その秘密が見えてきます。例えば天然群青の原料であるアズライトを偏光顕微鏡で見たとき、幻想的な宇宙のような世界が広がります。光学特性からわかる組成や構造には産地の情報が含まれており、天然岩絵具とは地球上の自然が作り出した色彩であることを改めて実感できます。これらの粒径や形状、表面、分散などを調査・研究することで、材料と表現の新たな可能性が見えてきます。