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版画研究室ホーム > 版画の歴史 > 版画の歴史 8 1700年代
版画の歴史

8 1700年代


リトグラフの登場

1798年にアロイス・ゼネフェルダーがリトグラフを発明します。

ゼネフェルダーは、演劇の台本を自費で印刷する為に最初は活版印刷を考え、小さな印刷所を設立しようとしていました。彼はインクを練る台として凝灰岩(石灰石)を購入していましたが、その石に油性のクレヨンで書き付けをして、後に洗い落とそうとしましたが痕が残ったままで、その部分に油分が付き、それ以外の部分に水がしみ込む事に気がつきました。

これがリトグラフの原理です。(それ以前に、ゴム引きした紙に油性インクで書いた時、その部分にだけ油が付く事を知っていたようです)

方法は、石灰石を版にして、脂肪性のインキやクレヨンで描画し、アラビアゴムに硝酸を添加したもので処理すると、油性インクの脂肪分と硝酸が反応し脂肪酸ができます。この脂肪酸と石のカルシウム(アルカリ性)が鹸化して、脂肪酸カルシウムをつくります。

この部分には油性分が反応し油性インクが付くようになります。描画部分以外には、アラビアゴムがしみ込み、水を保持する(親水性)薄いアラビアゴムの被膜ができます。刷りの時は、水を絶やさずに油性インクを付けたローラーを転がす事で、描画部分にのみインクを付け、それに紙を当て圧をかけて印刷します。

これはまだ真の石版術の発明ではなく、その後の2年間、ゼネフェルダーは石版印刷に必要なプレス機を作り、転写法を発明していきました。また、転写法の研究途中で書物の簡易複製法を創案しました。

彼は水と油の反発の原理による先人未踏の、純粋に科学印刷法である石版術を完成し、1800年にその詳細な特許願はイギリスの特許局に登録されました。また、この研究の合間に、石版術に付帯するほとんど全ての方法、用具や材料についても極め尽くしました。

後に、金属版(亜鉛)でのリトグラフも開発しています。このリトグラフ(石版画)は、版を彫ったり削ったりせずに化学的処理で製版ができることから、またたく間に印刷分野に拡がりました。

また、描く事だけで製版できる事から多くの画家達がこの技法で版画を制作しています。


アロイス・ゼネフェルダー
(1771-1834)

木口木版

1700年代末、イギリスやフランスで木口木版がおこなわれるようになりました。

版木の特殊性から大きな作品は少なく、小品が主でしたが、書籍の挿絵などによく用いられました。木口木版は微細な表現や中間調子の表現が特徴であったことから1800年代中頃まで書籍や出版物に多く用いられましたが、その後の写真の普及とともに衰退してゆきました。



この時代の作家

ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ Giovanni Battista Piranesi (1720-1778)
ウィリアム・ブレイク William Blake (1757-1827)
トマス・ビューイック Thomas Bewick (1753-1828)
ルイ=マラン・ボネ Louis-Marin Bonnet (1736-1793)

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