

CATP 教授
専任教授である杉田、北澤のよる往復書簡『critico=critico』
杉田敦 / Atsushi Sugita
芸術表象専攻は新しくできた専攻です。種々の理論を横断的に学びながら、現代美術の作品制作やプロジェクト、あるいは個々のテーマを深く掘り下げた探求へと、学生がそれぞれ自由にのびのびと表現することができればと考えています。スポーツにおいても、ゲームにおける理論や、身体コントロールの理論が重要であるように、アートにおいても理論は欠かせない要素です。理論を敬遠することなく、しなやかに使いこなせるようになってください。制作技術が必要な場合も心配はいりません。同学科の他専攻と連携しながらそれをサポートしていきます。理論と実践の相互作用を実らせることができるかどうかは教育する側の責任です。ただそれは、教育上の責任という意味だけでなく、理論的な研究を行ってきた教員が、どれだけ自分自身、実践的であれるかということを問われる、つまり自分自身の表現の可能性に対する責任でもあるはずです。本専攻においては、教員もまた、ひとりの表現者であり実践者でありたいと願っています。
1957年 生まれ。
名古屋大学理学部物理学科卒業。美術批評家。
オルタナティブ・スペース art & river bankディレクタ。
関連リンク : art & river bank
北澤憲昭 / Noriaki Kitazawa
美学や美術史に関心はあるけれど、なんだか古風で、いかめしいと感じているひとがいるのではないでしょうか。じつは美術史や美学を専攻する研究者たちのなかにも、そう感じているひとは決して少なくありません。ぼくも、じつはそう感じつづけてきました。そこで、芸術学や美術史という学問を出来るだけ現代に即したかたちに作り直してみようと思って、杉田敦さんと一緒に「芸術表象」という新しいカリキュラムを設計しました。「表象」というのは、何だか難しそうな言葉ですが、これ"representation"の翻訳語で、描写、再現、上演、記号、表現、代表、代理など、とてもたくさんの意味を含んでいます。また、語源的にはイメージの意味も含みます。こうした多様な意味のネットワークを通して、芸術にまつわる理論や美術史を現代の眼で幅広く捉え直してゆこうというのがこの専攻のねらいです。これから生まれてくる、この新しい専攻を、ぼくたちと一緒に育んでゆきましょう。
1951年 生まれ。
大学卒業後、美術批評の執筆活動に入る。
1990年、『眼の神殿―「美術」受容史ノート』(美術出版社)でサントリー学芸賞受賞。
関連リンク : 「現場」研究会