

CATP 芸術表象について
「表象」とは...
英語でいえば"representation"にあたる言葉で、表現・再現・描写・上演・想像・説明・代理・代表など、とても幅広いニュアンスをもつ言葉です。また、語源的にはイメージを意味するギリシャ語まで遡ります。
こうした多様な意味のネットワークを通して、芸術にまつわる理論や美術史を現代の眼で幅広く捉え直してゆこうといいうのがこの専攻のねらいです。
芸術表象専攻…
芸術表象専攻は、理論と実践の両面について探求する専攻です。理論に基づいた現代アート、現代アートにさらなる考察を促す理論、その両面を創出することが目標です。理論としては、美学、美術史に始まり、現代思想、社会学、カルチュラル・スタディーズ、さらには、ポスト・コロニアル研究など、幅広い視野での探求を行います。実践としては、現代アートの作品制作はもちろん、コンセプチャルなアート・プロジェクトの実践、ワークショップなど種々のアート活動の企画などを設計・実行します。理論系は論文執筆を、実践系は作品制作、プロジェクト実践を卒業研究とします。卒業後、理論系は研究者や教育者、学芸員など、実践系は現代アート作家、プロジェクト型アーティスト、アート活動のディレクタなどといった進路を想定しています。理論と実践、両面の探求は、欧米の美術教育においてはあたり前のことですが、日本の美術教育においては、制作偏重の傾向がありました。芸術表象専攻は、美術学科の他専攻と協力し、そうした問題を解消すべく、現代のアートの核となる部分に、理論と実践、両面からアプローチし、有用な人材を輩出することを目的としています。
芸術表象専攻において最も重要な要素となるのは、《芸術についての考察》ということです。表象されたものを手掛かりとしながら、自らの思考を練り上げ、討議を重ねながらそれを調整し、研ぎ澄ましていく。卒業研究が論文の形態をとるか、作品やプロジェクトの形態をとるかは、そうした考察のプロセスのなかで自然とかたちづくられていきます。そのため本専攻においては、理論と制作・実践をわけ隔てることなく、共に重要なものとして扱います。批評し分析するという姿勢は、現代美術と対面したときの最も基本的な態度のひとつです。本専攻は、そうした《芸術についての考察》ということを核としながら、それを研究や論文、作品やプロジェクトなど、かたちにとらわれずに社会に対して発信していくことができればと考えています。