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プログラムについて 取組の目標

モノをつくる学生の情報量は、一般生活者・消費者とは異なり、社会への有意かつ大きな発信力をもちます。そこが一般の大学(直接的にモノをつくらない大学)との差異です。美術大学の使命として環境に取組み、持続可能な社会の構築に向け広い視野をもつ学生教育を行います。例えば、紙漉きのような手仕事の世界では道具を用いて加工し製品に仕上げるために、自然素材の熟知と技術を必要とします。紙や顔料、繊維などからイメージされる素材づくりの伝統や歴史に学ぶことは、アート&デザインにとって大きな意義を持ち、本取組は<図1>の通り、現代的に改良を加え新たな創造的価値を創りだします。第二に、社会的ニーズである環境の基礎知識、情報、農体験等の実践知の獲得となります。第三にアート&デザインの表現力、実践力を創出します。

図1

1.教育の質の保証
女子美術大学では学生の質や教育・研究等の質は、大学が学生教育を4年間の完成教育と見るのではなく、学生の生涯を見つめ、卒業した後もキャリア形成の途上にあると捉え、一生を通して支援し続ける体制の構築により保証できると考えています。在学中の教育だけではなく、卒業した後の一生涯をかけた活動を本学は支援しています。そのため平成21年4月導入を目途に「美大でのキャリア形成支援計画」実施を別途予定しています。 本学は現在まで進めてきた素材教育と新たな取組として<教育ファーム>での素材育成、素材づくりを実践し、これを<育てる素材教育>と呼びます。学生は環境や素材を通し地域を知り、地域コミュニティのネットワークづくりに参加します。学生が自治体、地域の人々、NPO、企業等と交流し、異なる主体間を繋ぐコーディネートを行うことで、地域のネットワークの拡充と機能が強化されます。学生達のデザインや作品が商品化され、一般消費者の評価を受けることにより、次の素材づくりと作品展開へのフィードバックが行われ、実践知、実践力が身に付きます。また、美術環境における素材育成、素材づくりから作品化し消費するまでの一貫した流れの中で、モノの循環についての知のプロセスと応用力が身に付き、学びに広がりをもつ教育となります。

2.日本ブランド力の発信
国際競争力の強化には日本を見直す力が必要です。そこに日本の美、日本の隠れた文化としてデザインが登場する出番があります。本学はデザインという日本のブランド力を高めることで世界に貢献し、日本のアイデンティティを高め、海外に発信する力を学び、教育し、発信します。学生自身が、デザインやアートに内在する社会的融合力により自己の拡充フィールドを築いてゆくために素材教育を必要とし、美術大学の専門基礎力を培っています。素材(日本画の顔料、紙など)に触れ実物を知ること、素材の制約を前提に活用することによりデザイン力が鍛えられます。素材に触れることで得られる力を伝えること、教育することが必要です。

3.デザインを通した国際貢献活動
本プログラムは、<図2>の通り、これまでの本学のアート&デザイン分野の素材を基に、環境教育の実践がもたらした、デザインによる学生主体の国際貢献活動を目的とします。知識伝授型の形式知よりも、持続可能な社会形成に相応しい実践知を重視し、NGO、青年海外協力隊、卒業生や海外の協定大学等との協働連携により国際社会貢献の認識を深めます。かつて古代アジアから我が国に輸入された文化である美術やデザインを日本のブランド開発力でお返しすると共に、学生の国際力向上を目的とする学部・大学院が連動した大学全体でのプログラムです。また、一例として、平成19年からNGOを仲介し学生を主体とした海外の開発途上国へデザインを贈る活動が始まっています。いくつかのプロジェクト事例(スリランカ北部等)の極めて限られた範囲ではありますが、学生達が繊維製品、雑貨等に関する商品開発に伴うデザインを提供することで、戦災地域の経済復興、特に女性達への生活自立支援を行う活動を今後とも継続します。

図2



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