実施期間:平成19年〜継続中
参加学生:デザイン学科、工芸学科、美術学科他
担当教員:デザイン学科・工芸学科 横山勝樹
協働連携先:神奈川県立相模原青陵高等学校、相模原市立桜台小学校、
相模原市立双葉小学校、スマイルオーストリッチーズ(ダチョウ牧場)
場所:本学相模原キャンパス その他
【関連ページ】
*にこぷん
*エココン・活動受賞歴
*わたけん
*GM
*baishakhi
■プロジェクトの概要
女子美術大学のキャンパスのある神奈川県相模原市は農業特区の認定を受けダチョウ産業を行っています。
オーストリッチーズは相模原市から「産業を地域にもっとひろめたい」という依頼があり、平成19年に結成しました。以降、学生が中心となったプロジェクトとして、活発な活動を行っています。
発足時は、副産物であるダチョウの卵の殻をいかに活用するのかについて考えることから始まりましたが、素材が持つ「命」というメッセージに気づき、活動の本質そのものを考えることへと変化してきました。
伝えたいこと=ワークショップを通じて、いのちについて考える
理念=思いやりと実行
思いやりとは、相手のことを考えること。わたしたちの活動には様々な「相手」がいます。それは、人であったり、ダチョウであったり、卵のカラでした。活動を通じてわたしたちは、牧場で大切に育てられたダチョウたちがと畜場へ送られる姿を見ました。そして「こどもたちはダチョウという珍しい鳥に興味を持つものの、牧場本来の機能を知ることができているのだろうか?」という疑問がわいてきました。平成22年度は「たべられるためのいのち」の存在を知る、触れるためのワークショップを開催しました。
■成果
【種まきストーリープロジェクト】
実施期間:総合学習の授業の一環
9月〜11月計6回
9月3日、9月10日、10月1日、10月29日、11月6日、11月19日
場所:相模原市立桜台小学校
対象:桜台小学校3年生児童 約40名
内容:ダチョウ牧場の「牧場」から食事に関する「命」についての学習。
※種まきストーリープロジェクトとは
平成20年にワークショップを行った桜台小学校で、平成21年度に始まったプロジェクトです。
3年生の総合学習の時間をいただいて、にこぷんが授業を担当しました。
こどもに将来のための「気づき」の種をまきたいという桜台小学校3年生担当教師の方々の願いから現在から未来への「種まきストーリープロジェクト」略して「種スト」という題をつけてスタートしました。
2回目となる2010年度はGMとオーストリッチーズが授業を担当しました。GMは昨年も実施したグリーンマップを「地元を愛する海賊」という新たなテーマで、オストリッチーズは「食事」をテーマに行いました。
開催記録:
[第1回 7月9日 「いただきます」について]
・ダチョウってどんな鳥?
・牧場ってどんなところ?
・食べ物は何からできてどこから来るの?
・宿題:今日のご飯について調べよう
[第2回 9月3日 野菜が育つまで]
夏休み期間中の食事が何からできていてどこから来ているかを調査したものを発表する。
・前回の宿題発表
・農業のお話を聞く
・野菜の種を決める
・野菜について調べる
[第3回 9月10日 野菜を育てよう]
卵の殻を落として割らないようにと筆箱で囲むことを思いつく。
・野菜についての情報を共有する
・卵の殻を使った植木鉢作り
[第4回 10月1日 生産者の話を聞こう]
現場をみて、現場で働く人の話を聞いた。
・養鶏場を見学する
・畑を見学する
・養鶏場のDVDを鑑賞する
[第5回 10月29日 みんなに伝えよう]
保護者向け発表会に向け、班ごとに授業の中で気づいたことを「伝える」練習をした。
[第6回 11月6日 みんなに伝えよう]
小学校の授業参観日のため、保護者が発表を見に来ていた。保護者の前で緊張しながらもこどもたちはハキハキと発表していた。
・授業参観での発表会
[第7回 11月19日 まとめ]
・GMとの合同報告会
・未来について話をしよう
・みんなで記念撮影
■結果
桜台小学校からお話をいただいた当初は、約3ヶ月にわたる授業の提案内容に、とても不安を覚えました。教員経験のない大学生が、しっかりとこどもたちに教えることができるのか非常にプレッシャーを感じました。そんなわたしたちに先生方は、わたしたちのやり方でこどもに教えて欲しいと言ってくださいました。その言葉のおかげで、こどもたちがこの授業で学んだことや気づいた事をそれ以降も意識していくことができるように願って、企画を創意工夫することができたと思います。
昨年度に実施した「卵の森プロジェクト」との大きな違いは1回限りの授業ではないこと。回数を重ねるごとにこどもたちに変化が生まれました。
たとえば、夏休みに出した宿題の「食べ物調査」も、授業内での「調べ学習」もとても楽しんで行っていましたが、人前で話しをする事は苦手でした。わたしたちがこどもが自然と話せるようにと心がけることで、当初、しりごみしていた子も、授業を重ねるごとに積極的に発表できるようになってゆきました。
わたしたちがこどもたちに伝えたかった「いのち」と「食事」についてその100%は伝えることができなかったと感じています。それはわたしたちの伝え方が未熟であったからかもしれません。しかしこどもたち自身は、この授業からたくさんのことを感じ、学び取ったとわたしたちは思っています。約3ヶ月間で、わずか7回の授業でしたが、こどもたちが確かに成長したと実感できたからです。
これからも一層、いろんなことを学んで感じ取っていってほしい、その気づきがこどもたちの未来に花を咲かせることを願っています。