活動報告PDFダウンロードサイトマップ
Project J 青稜高校陶芸コース・コラボレーション
活動報告201020092008

実施期間:平成20年11月〜平成22年10月
参加学生:工芸学科、神奈川県立新磯高校、相模原青陵高校
担当教員:デザイン・工芸学科 吉田潤一郎
場所:女子美術大学、神奈川県立新磯高校、県立相模原青陵高校

■プロジェクトの概要
本プロジェクトは、陶芸を通して大学教育と高等学校教育の連携を深め、地域の教育環境に貢献しようとするものです。高校における授業への協力などを通じ、高校生と大学生の交流を図り、お互いの発展的関係を目指してきました。

■平成22年度活動
この活動も3年目を迎えましたが、今年度の課題は下記の3つでした。

  1. 参加人数を増やす
  2. 共同制作の可能性を探る
  3. 高校生がプレゼンテーションをする

(1)は本学陶コースの参加人数が増えましたが、(2)と(3)については実現できないことになりました。新磯高校が合併によって相模原青陵高校になるという変わり目の時期にあたり、新しい状況下でのカリキュラム調整が難しかったためです。
このため、今回の活動は昨年と同様に、大学生のレクチャー、合同講評会、そして女子美祭見学の3つを行うことになりました。なかでも合同講評会は、両校にとって大変効果的であることが昨年度に判ったので、これに向けて本学陶コース3年生の授業を更新し、より効果を高めることができました。

■成果
【第1回】打ち合わせ
日時:平成22年5月26日(水)14:30〜17:30
場所:相模原青陵高校 陶芸実習室
平成22年度活動予定を検討。上述の状況により新しい試みは控えることにし、昨年と同じ3つの活動を行うこととしました。昨年度の活動から判ったことは、大学生と高校生が直に話すことが相乗効果をもたらすということでした。そこで今回は、昨年度以上に学生と生徒同士でお互いの考えを伝えあえる試みを実施しました。

【第2回】女子美陶コース4年生によるレクチャー
日時:平成22年9月17日(金)13:15〜17:00
場所:相模原青陵高校 陶芸実習室
本学陶コース4年生によるスライドレクチャー。2人の4年生が、それぞれ自分が学んできた内容と自作歴を、スライドを使って説明しました。そして大学生としての総まとめである卒業制作への取り組みについて、自身の考え方を述べました。最後に、自作の作品=実物を囲んで、会話形式で意見交換をしました。

【第3回】女子美陶コース3年次との合同講評会
日時:平成22年9月30日(木)13:25〜17:00
場所:女子美術大学 陶芸実習室
本学陶コース3年次の後期講評会に、相模原青陵高校が参加しました。3年次学生それぞれの4月〜9月までの制作進展状況について、学生ひとりひとりが提示し、それに対しての意見交換を行いました。本学3年生は、自分の制作テーマや制作プロセス、作品の変遷などについて、実物の作品とスライドを見せながら説明しました。説明後、高校生からの質疑に応じ、自分の説明が適切であったかについてを確認しました。また、アンケート用紙を配布し率直な感想を書いてもらい、その後の制作のための資料としました。高校生にとっては、美術大学の講評会という具体的な状況に参加することで、高校での美術活動について見直す良い機会となりました。
昨年度に較べ次の4つの点でより充実したものになりました。

1. 昨年度の合同講評の時期は前期でしたが、今回は後期に設定したので、本学3年次学生作品の完成度が高いものを見せることができました。
高校生に与える作品の印象が、昨年度より強いものになりました。
2. 昨年度は実物作品だけを見せての説明でした。制作途中のスライドが無かったため、制作プロセスについての質問に対し、解説が不十分になってしまいました。今回は制作プロセスのスライド作りを授業課題に取り込むことで説明の準備を整えました。機材面でも大きな映像を映すことができるプロジェクターを用意したので、昨年よりもわかりやすく伝えることができました。
3. スライド発表の練習を授業に取り入れて合同講評会に備えましたので、昨年よりも明快な説明となりました。3年次生は、他人に分かりやすく説明するためのトレーニングをすることが、自分自身の制作を整理して見直すのに有効であることに気づき、より積極的に制作に取り組むようになりました。
4. 上記3点のことから、高校生に昨年よりも強く伝わったことがあります。それは、美大生ひとりひとりがそれぞれのテーマを模索し続けているということ、そして、自分のテーマを作品として実現するために、日々制作上の問題点と取り組んでいるということです。
このことは、高校生にとってとても印象的だったようです。日々の制作姿勢に関するたくさんの感想や意見をもらえました。

【第4回】女子美祭作品鑑賞
日時:平成22年10月23日(土)
場所:女子美術大学
相模原青陵高校生が女子美祭を見学しました。女子美祭では学生が授業で制作した作品が学年別に展示されているので、それを見てもらい、本学の美術教育を作品を通して理解していただきました。特に工芸学科の展示場では本学学生が作品解説をして、高校生が制作者とじかに触れ合う機会を作りました。工芸学科の染、織、陶、ガラスの4コースそれぞれの展示場で、活発な質疑応答がありました。

■活動を終えて
陶芸コラボレーションは平成22年度をもってひと区切りとなります。お陰さまで、3年間の活動は両校にとって良い効果をもたらしました。
本学陶コースにとっては、授業にプレゼンテーショントレーニングを取り入れるきっかけとなりました。美術を専門としていない方たちと美術大学生とのコミュニケーションについて、これからも学生と考えていこうと思います。
高校生にとっては、自発性と持続性がもたらすものについて考える良い機会であったと思います。自発的に日々制作し続けている少し年上の大学生と触れ合うことで、高校生たちの心にも、なにごとかに積極的に取り組みたいという思いが湧いてきたようです。
最後に、この活動を共に進めてきた新磯高校・相模原青陵高校の先生方に感謝申し上げます。

1 - 女子美生(工芸 陶コース4年)によるレクチャー 2 - 自作歴や学んできたことをスライドを使って 3 - 女子美生(工芸 陶コース3年)による合同講評会 4 - 合同講評会:スライドを交えながら 5 - 合同講評会:高校生との質疑応答 6 - 女子美祭作品鑑賞 7 - 女子美祭:織りの立体作品に興味津々 8 - 女子美祭:ガラスの作品を鑑賞 9 - 女子美祭:陶の作品説明を聞きながら、活発な質疑応答も
トップへ戻る
前ページ次ページ