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Project H 環境論+
活動報告201120102009

実施期間:平成21年9月〜平成22年3月
参加学生:デザイン学科、工芸学科、メディアアート学科、洋画学科 19名
担当教員:デザイン学科 赤沼國勝
場所:本学相模原キャンパス その他

【実施プロジェクト】
*baishakhi
*地球擬人化計画
*キャップリン
*アンケエコ
*案山子

講義科目である「環境論」では双方向性の授業を行っています。その特長のひとつには学生に自分の得意な表現手法を使って環境問題の解決案を提案するという実践的な内容を含んでいます。受講学生の中には、授業期間終了後も自分の活動を続けたいとする意欲の高い学生もおり(本年度団体数32団体)、その学生達に教育GPとして教育面、資金面で支援しようというのが「環境論+」の主旨です。
学生達はこれらの支援を受け、個々の活動とは別に週一回の「環境論+」の全体会議を実施し、自分たちの内容をより確かな形にしてゆくための意見交換を行いながら半年間活動を進めてきました。最終的にはできあがった作品をシュミレーションして確認します。さらに改良点など整理して活動の内容を冊子にまとめて終了となります。半期の活動を通じ、学生達の活動は自らの発案時から、時が経てばたつほど内容が深まり、モチベーションは増していきました。またデザインの重要なポイントを「環境」という限られたテーマの中ではありますが、深く調べなければならないことや、他に任せられない責任、冊子制作のために印刷発注や依頼調査など実社会に接して活動することなど授業では学べない重要な事項を短期間で経験し、身につけることができました。美術系学生にとって良い機会が与えられ、同時に社会に通用する実績が得られました。

■各プロジェクト活動の成果

【baishakhi】(ボイシャキ)
■プロジェクトの概要
本プロジェクトは、環境問題が人と人との経済的格差(=南北問題)から始まっているという観点から、そのことを知ってもらうためのきっかけづくりとして、発展途上国であるとされているバングラデシュの人々と共同で、革製品の生産から販売を行うプロジェクトです。
商品の良さはもちろん、その裏側に隠されたバングラデシュの人々について、経済的格差について、少しでも多くの人に伝えていきたいと考えています。バングラデシュ側で欠けているデザイン力を補うために私たち女子美側でデザインを行い、バングラデシュで商品の製造を行うことが目標です。革製品の生産を平等な立場で進めていき、お互いの能力を活かし、より良い商品作りを目指します。
今年度の具体的な活動は、材料代や商品製造に要する時間、輸送費、税関等のデータ収集、革製品におけるマーケティングを行い、本格的な活動は来年度以降となっています。現段階では、バングラデシュの方々とコンタクトを取るための準備を行っていて、実際に商品を製造して頂く段階までには至っていません。

■成果と今後について
参加学生は、専門的な知識を持つ企業や卒業生と接し、バングラデシュでの革素材における現状や、革製品のデザイン、制作、マーケティング活動等について学びました。また製品そのものの知識だけではなく、日本とバングラデシュとの国交関係や貿易等の知識が、非常に重要であることを再認識しました。ブランドイメージを明確にし、今後の商品化に向けて、手作りサンプルを元に一般の人への市場調査をおこないました。DMや企業向け冊子を制作し、ホームページを立ち上げ、本プロジェクトの活動内容を公に発信しています。現在、活動を支援していただける企業を探しています。baishakhiでは、革の知識、国を越えた人との交渉力、ニーズと制作を考慮したデザイン力、臨機応変なマーケティング力が、重要な要素となることを踏まえ、今後も活動を継続していきます。

baishakhiとは
バングラデシュのお正月(4月14日)を意味し、この日はどんなに貧しい人でも幸せな1日を過ごすそうで、私たちは格差がなくなり幸せな1日が少しでも多くなるよう、これをプロジェクト名としました。
ホームページ
http://2style.jp/baishakhi/

【地球擬人化計画】
地球環境問題をより良く理解してもらいたい。そのためには文章やポスターではなく、得意としているグラフィック的表現(特に漫画表現)であれば、より多くの人々に理解してもらう事が出来るのではないかと考え制作にあたったプロジェクトです。地球そのものを人間にみたて、樹が伐採される事は頭の毛が禿げるなどと云った形で身近で解りやすく表現した作品です。
内容はWEBにして意見などをもらい、修正し完成させてゆきました。最終的には絵本にしてより多くの人に見てもらい、さらにこの事をより多くの人に知ってもらうためのフライヤーやDMなど自発的に勉強してデザインを行い、印刷まで実行しました。
「地球さん」とその友達のイラストを大まかな説明と共に表面に、裏面にはサイトに掲載している漫画から数コマ取りだして興味を持ってもらえるようなキャッチコピーのようなものをつけました。
活動を知ってもらえるよう母校の新潟県立新潟高校へ、DMの配布をお願いしました。
今後の活動予定としては春になり、新入生に呼びかけ、共同して新しい手法を開発してアートの視点から環境問題に取り組む環境論+の目的を進める予定です。
ホームページ「ひと目でわかる地球の“やばい”」
http://tqsan.web.fc2.com/

【キャップリン】
ペットボトルキャップを集めるという主旨で活動している団体数は沢山存在します。学生達は自分たちのデザイン力をこれに活かせないかということからこの活動が始まりました。目を引くか、ペットボトルの廃棄と蓋の分別をいかに面倒なくやってもらえるか、デザインのクオリティの高さは?収集しやすさはどうか、など機能面でのコンセプトを大切にし、その上800個の蓋がひとりの命を救うという現実をデザインに表すといった女子美らしいテーマも設けて計画を始めました。
第1案はエコグッズデザインコンペに応募。後日改良案を第2案として作製しキャンパス内の2カ所に設置し、現在までに5000個のキャップを回収しました。同時に学内にてアンケート調査など行い分析しています。
今後は集めたキャップを使ったイベント(イベント後に医療団体に送付予定)を行い今後の活動の喧伝を行う予定です。

【アンケエコ】
環境問題についてより多くの人に理解をしてもらう事や知ってもらうといった方法は様々有りますが、質問を投げかけることによってはじめて人はそこで考え、多人数が揃えば話し合ったりでき、そのことについて深く考える機会も与えられるでしょう。このような想定を前提としてアンケート方式の教材を考えました。誰でもが知っていなければならない環境の問題点を整理して質問と質問の繋がりを重視しながら、絵などを多用してやさしい質問形式で問いかけるように工夫しています。
アンケート調査とは、調査目的、項目、対象、規模、時期、方法(1留置調査法2集団調査法)など詳しく決めなければならないことを学びました。目的などをはっきりさせることで、アンケートの効果をより明確にすることが出来るのではないかと感じました。
『その場ですぐ出来る・分かる』にこだわった理由は、アンケートは結果が見えにくいという難点があったからです。それを解決するために、相談したり、模索して行く中で今までに無かったアンケート方法に至りました。 また、アンケートの可能性について知ることが出来たり、項目を考えるうちに「身近で出来るエコ」を知ることが出来ました。
こどもでも大人でも未知だったことを知ることが出来るだけでなく、質問に答えた多くの人の中で自分は標準なのかそうでないのかなど自分の立ち位置を知ることになるでしょう。そのこともアンケート形式のメリットであると考えています。今後は今回の完成品を使って小学校などで実施し、実際の効果を計り改良を行ってゆく予定です。

【案山子】
こどもたちに環境問題をわかりやすく、楽しく学んでもらうことを目的とし、さらに環境問題に自ら積極的に取り組んでもらう意識作りをする有効な方法として環境ゲーム「森林化政策」造りを考案しました。
デザインを学んでいる自分たちが環境問題に向き合ったとき何が出来るだろうか?という視点から双六のようなゲームを新たに造り出し、ゲームによって楽しく遊んでいるあいだに環境教育が受けられるというのが活動の発端です。
こどもたち(小学生から大学生まで)を対象としており、ゲームの難易度を変えることができるよう設定しました。サイコロを振って進み、そのたびに環境汚染物質(擬人化してある)と対戦やクイズ合戦をして一進一退しつつ最後はゴールする内容です。現在までの活動は様々なゲームの調査活動や試作品製作で、今後それによるシュミレーションや改造など行ってゆき最終製品としての完成する予定です。
1年生が主体となっているプロジェクトでしたが、ボードゲームの説明書やパンフレットの制作は、印刷会社とのデータのやりとり、打ち合わせなどを重ね暗中模索の中で進められ、結果的には予想以上の仕上がりとなり、有意義な経験でした。

案山子ブログ
http://kakashi2010.blog48.fc2.com/

1 - baishakhi:試作したバングラディッシュの皮を使った作品 2 - baishakhi:試作品例 3 - baishakhi:バングラディッシュの留学生も交えてミーティング 4 - baishakhi:女子祭学内フリーマケット会場 にて市場調査 5 - baishakhi:職人さん訪問 6 - baishakhi:製品の試作中 7 - 地球擬人化計画:漫画やビジュアルメインで伝える冊子 8 - キャップリンの事例 9 - 参加学生たち、真剣にミーティング風景
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