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Project K 素材環境教育プロジェクト
活動報告2011201020092008

実施期間:平成20年度〜継続中
参加学生数:芸術学部学生21名 近隣小学校の児童有志
担当教員:芸術学科 坂田勝亮
場所:相模原キャンパス 1号館5階を中心に、必要に応じて随所

■プロジェクトの趣旨・目的
美術教育において素材と環境の関係を理解させることは重要な課題のひとつであると考えています。本プロジェクトは、素材と環境との関係を学ぶためのツールとしてこどもたちに人気のあるトレーディングカードゲームを開発することを目的としました。従来のカードゲームに多くみられる破壊や戦闘といったテーマではなく、美術と環境というテーマに沿って素材から作品を作り上げていく創造と制作の過程を競い合うゲームとしました。デザインは男子だけでなく女子にも親しみの持てるものとし、楽しく遊びながら自然と知識が身につくカードゲームを開発しました。

■成果
今年度は、昨年度の成果を基に美術における素材・環境教育の可能性を検討するとともに,その将来的な必要性を確認して,カリキュラムとして実施するための諸問題について考察を加えました。

・カードゲームによる効果の測定
地域の小学校の協力により定期的にカードゲーム大会を開催して内容の習熟をうながし、1〜2週間おきに実施したワークショップでは昨年度試作したカードゲーム’Master Piece’の効果測定を行いました。
具体的には、ワークショップを実施する前に素材・環境と美術に関わる知識についてアンケート調査を行い、開始時点の児童の知識量を測定、ワークショップ5回目開催後に、再度知識調査を行いました。

・知識量測定の結果
一定期間のゲームプレイの前後では知識の有意な向上がみられ、美術を通して素材と環境の知識が増大したことが明らかとなり、大きな教育効果を上げることがわかりました。また、立体や服飾などの領域では成績の向上が大きかったのですが、相対的に絵画などでの向上は小さい結果となりました。これは膠や顔料など、作品を制作してゆく素材の多くが、小学生には馴染みの薄いものだったことに起因していると考えられました。

ワークショップ以外にも、同様の試みをおこなっている他の研究者や企業とも交流し、知識を深めました。
また、文献などによりこれまでに行われてきたさまざまな試みや、新しい試みの方向性も検討をおこなってきました。参加した学生は、初等美術教育における素材と環境に関する項目の重要性を再確認し、カードゲームという教材を通して取り組むことで自ら工夫して教育効果を挙げることを学びました。

・新しいカードゲームの完成
これらのワークショップや調査結果より、試作カードゲームの改善が検討されました。これは素材や作品に関する領域の拡大や、ゲームの進行やルールのわかりにくさ、さらには実際にプレイした児童からの提案に基づく新しい試みなども検討され、新しいカードゲームが完成しました。これは従来のルールを踏襲し、教育効果を確保するとともに、さまざまな美術領域における事例を取り入れて、より広範な知識の習得を可能とするものと予測しています。

■今後(H22年度)について
新しいカードゲームをもちいて、再度効果測定を行う予定です。

1 - カードゲームで遊ぶ 2 - 素材から作品を作り上げていく過程を競い合う 3 - 定期的なゲーム大会を通して内容の習熟を促す 4 - トレードゲームのカード 5 - 繰り返しゲームを楽しむ 6 - 参加児童からの提案に基づいて再検討
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