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Project H GM_にこぷん
活動報告201120102009

実施期間:平成20年〜継続中
参加学生:デザイン学科、メディアアート学科、美術学科他
担当教員:デザイン・工芸学科 横山勝樹
協働連携先:麻布大学、神奈川県立相模原青陵高等学校、相模原市立桜台小学校、相模原市立双葉小学校
場所:本学相模原キャンパス、その他

【関連ページ】
*にこぷん
*エココン・活動受賞歴
*オーストリッチーズ
*わたけん
*baishakhi

■プロジェクト概要
「世界とつながるネットワーク:グリーンマップ」
私たちは自分たちが生活する地域・環境をどのくらい、知っているでしょうか。グリーンマップは、暮らしている街や地域を、グローバルアイコンと呼ばれる建物・植物・感情などをシンボル化した世界共通のマークを使って地図にまとめることで再発見し、その発見を地域の人に発表してゆく活動です。現在この活動は、世界の50 カ国450以上の都市に広がっています。
「大学生+アート+グリーンマップ= GM」
アートを学ぶ私たちは、いかに「人の心を動かす」ことができるかについて常に留意しています。グリーンマップには、人と人との会話、街の散策によって地域や身近な環境に触れること、地図の作成や発表を通して気持ちを共有することなど、さまざまな要素を持った総合的なコミュニケーションの可能性があると考えています。
普段何気なく歩いている道も、いつもよりじっくりと時間をかけ“五感”を使って捉え直してみることで、地域に対して新らしい“感情”を育み、“知る”ことが出来ます。やがて発見したものに対する愛着は、「思う」気持ちに繋がっていきます。日常のようで非日常的なその発見を、きっと誰かに「伝える」ことになるでしょう。
グリーンマップを通じてこの「知る・思う・伝える」というサイクルが生まれ、他者や自然を思いやる気持ちの大切さに気づくことや自発的な活動にも繋がってゆくのです。
一般的にエコというと、CO2、ごみ削減などの活動が多いものですが、GMは環境・人に対する気持ちをつくりだす心を育む“エコ”として、コミュニティーの輪を“デザイン”するというアートの視線から新たな風を巻き起こしています。また、日本各地域から集まったメンバーが一緒に活動することで、多角的に地域を見直すチャンスを得ています。GMは、「歩く」という手軽なアクションから地域を見直し、人や自然と触れ合うということにプラスし、“ガムシャラ”な日々の生活の中からも得られる気づきをプラスすることで毎日を楽しく、物事に一途に取り組むことをモットーに日々活動しています。
平成22年度は「女子美周辺地域の小学校・高校・大学とつながること」を目標に掲げて活動しました。現在主に4校(双葉小学校、桜台小学校、県立相模原青陵高等校、麻布大学)と連携しています。

*GM流 ワークショップの流れ
1. 散策
大学生ファシリテーターと小学生が一緒に散策します。グループ内でこどもたちの役割(道を決める係・発見物を調べる係・時間を知らせる係 etc)を決め、自発的な活動を促し、“五感”を使うことを意識させたり、クイズ・自己紹介などをとりいれ、こどもたちの気づきを導く雰囲気を作るよう心がけます。

2. 発見
発見したものに感情アイコンを当てはめ、記録します。こどもたち同士の何気ない会話も大切な発見です。発見には色々な種類があり、物・感情・においなど知覚的発見も当てはまります。

3. 地図づくり
発見したものをグループでひとつの地図にします。こどもたちの自主性・感性を尊重し、みずから描く・切る・張る・折る・作ることが出来る素材(折り紙・散策写真・スパンコールなど) を多く用意しておき、飽きさせない工夫を凝らします。

4. 共有
発見を自分達だけのものにするだけでなく、多くの人に伝えられることを大切にしています。作成した地図や発見の紹介に加えて、実際の発見物を作ったり、オリジナルの演劇を取り込むなど、発表に工夫を行えるよう勧めます。

■成果
今年度は、2つのワークショップを実施しました。
活動を通じて携わった本学学生たちも、ファシリテーション能力がつく、立場・発見を意識できるようになる、パソコンスキルなど技術力の向上、地球や人に対する愛情が増す、日常生活で気づきが増える、積極的になって行動力もアップするなど、多くの点で成長を実感することができ、大変実りのある体験となりました。

1. 相模原市立双葉小学校ワークショップ
実施日:サマースクール(※)の2日間 7月26日、28日
参加者:双葉小学校児童13名、本学生16名、高校生5名、他大生1名
ストーリー:トレージャーハンターグリーンマップ
活動フィールド:双葉小学校周辺(通学路・身近な場所)
※サマースクール=地域の方を講師として招く野外授業

小学3年生〜5年生・高校生・大学生で双葉小学校周辺(児童の通学路、身近な場所等)を舞台に、トレジャーハンターになって散策しました。「未来を発見!君と双葉と地球と・・・」がテーマ。散策を通して地域の現状を知り、そこから想う未来を描くことにより、“理想の地域をつくりたいと思う心を育てる”ということを目指しました。
【1日目】 散策
キーポイント(チェックポイント)に高校生が考えた“五感クイズ”を取り入れて、こどもたちと五感を使って地域を感じました。
【2日目】 地図の作成
折り紙・絵の具・ペン・写真・拾ってきたもの・・・いろいろな素材を使ってグループで一緒に1枚の地図をつくることによって、お互いに心の通うつながりを持つことができました。最後には、小学生自身が散策の中で印象に残った発見(= 心の宝)の未来を考え、絵や文字で表現する未来日記をつくりました。 アフターケアとして、参加した小学生に思い出をまとめた「未来の本」をプレゼントし、またワークショップの内容を全校生徒に向けて「新聞」としてまとめました。
今年度のストーリーは、平成21年度の反省から個人発見のワークショップを行うよりもグループ発見の方がGMの目的に合っていると考え、グループで何かを探せるようにと企画立案しました。
トレジャーハンター(宝探し・冒険)での発見を大切にする= 発見は宝であることを強調し、宝物を自分達の手で守っていくこと、普段とはちがう場所に行ってみることをプチ冒険にみたて、どんな小さな発見も等しく大切であることを小学生に伝えやすくしています。

2. 相模原市立桜台小学校ワークショップ
実施期間:総合学習の授業の一環 
9月〜11月計6回
9月3日、9月10日、10月1日、10月29日、11月6日、11月19日
参加者:桜台小学校児童約40名、本学生28名
ストーリー:海賊版グリーンマップ
活動フィールド:相模原公園・麻溝公園・桜台小学校周辺

夏から秋にかけて、小学校3年生の総合的な学習の時間の一部をいただく機会をいただき、長期にわたったワークショップを行いました。先生方と目的をしっかり共有できるよう、会議を重ねた結果、小学生の心の畑を耕しさまざまな“気づき”の種をまくことで、身の回りにあるものの大切さを感じられることを目指す「種まきストーリー」が産まれました。「地域を入り口に私と○○を意識できるようになる」ことを種まきストーリーの目標としてを企画を開始。特に「身の回りにあるものの大切さを感じるようになること」をGMの目標にしました。
【1日目】 散策
相模原・麻溝公園を舞台に双葉小学校ワークショップ同様、散策ルートをこどもたちに決めてもらうなど自主性を尊重しつつ、キーポイント (チェックポイント)には、“五感クイズ”、“相模原クイズ”、“でいだらぼっち伝説(*注)の紙芝居” を盛り込みました。フィールドの広さを生かして9グループが思い思いの道を進み、その結果、地図は各グループの個性あふれるものになりました。
【2日目】 散策
桜台小学校周辺をメインに小学生にとってより身近な地域を“五感”を使って感じ取るよう呼びかけ、一緒に歩きました。
今回は開催日の間が長いため、大切な発見や気持ちを忘れてしまわないように、こどもたちの家周辺の地図づくりや、目・鼻・口・手・耳の使用度をグラフに記録する五感グラフを用いて散策を振り返るプリントなどを宿題としました。 最後のまとめとしては、授業参観という形で、これまでの散策や発見をまとめた発表会を行いました。
こどもたちは、発表のためにお気に入りの発見をグループで決め、劇や発見物を作ったり、発見から物語をつくり、それらの物語や劇、インパクトのある道具、五感を取り入れた発表まで、すべてを自らの手で試行錯誤することで、発見したものの魅力を大いに表現することができました。わたしたちはこの発表から“地元を愛する海賊になる” “自分の身の回りの大切なもの・環境を守る”という種がしっかりこどもたちに根付いていることを実感することができました。

*注 でいだらぼっち伝説:「でいだらぼっち」のお話は神奈川県をはじめ、関東など富士山をのぞむ地域に、広く伝えられている「巨人伝説」

■今後について
つながり・・・広がる“輪”「わたしたちのかんがえるエコ」
当たり前のことがどんなに大切でかけがえのないものなのか、わたしたちは意識できているでしょうか。今ある自然や環境を保っていくには、その尊さを感じ問題意識を持つことが重要になってくると思います。GMの活動はそのための“きっかけ”です。 人と接することや、自然を知ることは人々が忘れかけている「人や自然への思いやり」を思い出すことでもあります。それはお互いの心に触れる・または触れようとする行いは、きっと毎日をより良く前進させていくでしょう。誰かの思いがつながって、やがて輪になり、広がっていく。GMは思いやる心をはぐくむ活動でありたいと願っています。
江戸川ワークショップなど既にGMを卒業した学生の働きかけによって新たな活動が増えています。今後GMを卒業した人によってさらに広まっていき、それをGMの活動に戻すことでさらなる可能性を広げていきたいと考えています。

1 - 双葉台小学校ワークショップ・散策する 2 - 散策ルートはこどもたちが決める 3 - 大学生ファシリテーターと一緒に散策する 4 - 双葉台小学校ワークショップ・地図をつくる 5 - グループでひとつの地図にする 6 - 多くのひとに伝えることを大切に、工夫する
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