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Project A 紙プロジェクト_01
活動報告20112010200920082009

実施期間:平成2年4月〜継続中
参加学生:絵画学科洋画専攻版画コース・絵画コース・デザイン学科
担当教員:絵画学科洋画専攻 馬場章
場所:本学相模原キャンパス・紙漉場、北側畑、相模原地域

「紙のプロジェクト」は「紙漉き」を通し紙について学習することを目的に、「紙の歴史」「身近な植物繊維から紙を作る」「紙を使ったデザイン」「紙漉きに関する指導法」の項目からなっています。

■成果
平成20年度は、紙の素材に関する調査を行い、身近な植物から紙を作る方法の実験を行いました。
現在、これまでの紙素材研究と開発の試みによって大学内において美術に使う紙漉の技術的問題は解決しています。この紙漉き技術を地域密着型のプロジェクトとして成立させる為には、地域における紙の素材となる原材料の調査が必要となってきました。
例えば、厄介者の竹を紙の原料とするには、現在の紙原料として一般的な楮・三椏を原料に加工する方法を改良しなければならなりません。同様にススキ・桑・梶の木・蔦・紫蘇・青蘇・その他の麻類など自然に原生する植物も全てが紙になりますが、実験を交え各種植物の紙原料化をシステム化する事が必要となってきます。その他に廃棄されるダンボールや古着(綿製品)も紙原料になります。
大学の所在する相模原地域で素材マップを造り、地域に自生する植物や廃棄処分であるダンボールの紙原料化について、小・中学校またはP.T.Aや地域の協力を得て調査を行い、試験紙を製作し、その用途のアイデアを募りました。
■様々な植物から紙をつくる
作物の廃材としては、「トウモロコシ」「稲わら」「オクラ」「サツマイモのつる」その他の植物としては「ススキ」「竹(孟宗竹)」「三椏」「梶の木(楮科)」、そして生活廃材の「段ボール」「綿ボロ」を原材料としました。また、三椏は、相模原校地北側の畑から3年目の木100本程度を選別し切り取って使用しています。
集まった原料の前加工からアルカリでの煮熟、機械を用いた叩解によるパルプ化、主に溜め漉きでの試験紙作りまでを行い、工程をまとめたテキストを作成しました。繊維をほぐす前段階の処理がそれぞれの材料の特質によって異なり、試行錯誤が必要で。
漉きあがった資料と紙原料については、宍倉佐敏先生より繊維化の改良およびサンプルと繊維データの作り方の指導を受け、今後のプロジェクト活動につなげてゆく予定です。 20年度は、漉いた紙から封筒、照明スタンドを試作しました。

■今後(21年度)について
地域で取れた素材を紙パルプ化し、その地域ごとに紙にする活動、誰でも簡易に漉ける技術・道具を開発してゆきます。参加校(小学校・中学校)を相模原市教育委員会のご協力のもと募集し、応募のあった学校で「紙漉き体験」教室を実施し、本学学生が児童・生徒たちに紙漉きを指導する予定です。女子美術大学付属中学校でも、体験学習として紙漉きを行う予定です。身近な植物を持ち寄り、紙の原料に加工し、その原料から紙を漉く。また、紙の用途について考え、その目的に合った紙を漉く予定です。学生は、参加した児童・生徒たちから体験を通した意見を取材します。

稲わらのカット
おくらをソーダ灰液で柔らかく煮る
生活廃材・段ボールを漉いた紙を脱水する
とうきびの原料を水に分散させる
漉き枠をはずし、乾燥させると紙になる
コットン、段ボール、楮、トウモロコシ、稲わらの紙
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