活動報告PDFダウンロードサイトマップ
Project L 新磯高校陶芸コース・コラボレーション
活動報告201020092008

実施期間:平成20年7月?継続中
参加学生:工芸学科、県立新磯高校の生徒
担当教員:工芸学科 吉田潤一郎
場所:女子美術大学、県立新磯高校陶芸の実習室・釜場

■プロジェクトの概要
本プロジェクトは、陶芸をとおして大学教育と高等学校教育との連携を深め、地域の教育環境に貢献しようとするものです。授業協力などを通じ、高校生と大学生の交流を図り、お互いの発展的関係を目指しました。今年度の主な活動方針として以下の3つのポイントに重点を置き、進めて行きました。

1.授業協力
新磯高校の先生方から「生徒の発想が豊かになった。」という報告がありました。新磯高校への授業協力としては、現役の美大生がレクチャーをして、自分たちの発想と制作方法を伝えたことが効果的だったようです。また、美大生が現在の作品だけでなく高校時代にまで遡って年代ごとに作品解説を行ったことが、現役の高校生にとって現実味を感じることが出来たのだと思います。
本学3年次の講評会を合同で行ったことは、3年次学生にとって良い効果をもたらしました。学生は、専門外の人々に自分の作品解説を行う場合、用語の使い方や実例の示し方に気を配らなければ相手に話が理解してもらえないことを実感できました。この経験は、美術系以外の人々と広くコミュニケーションをとる場合の方法を考えていく良いきっかけとなりました。

2.大学生と高校生の交流
美大生によるレクチャーでは後半に雑談形式をとり、若者どうしのことばで交流ができるようにしたことが効果的でした。高校生にとっては、4歳ほど年上の大学生と身近に話が出来たことは、自分の近い未来を考えていく上で刺激になったのではないでしょうか。
作品鑑賞では本学美祭で染・織・陶・ガラスの作品制作者と高校生たちが広く交流を持つことができました。陶芸以外の分野の学生と話すことは、陶芸と他の分野との違いを具体的に理解するのに役立ったと思います。

3.指導内容の相互理解
新磯高校の先生方によるレクチャーで、高校での美術教育のあり方と現状を教えていただいたことは、教職を希望する学生にとって大変貴重なことでした。また、それ以外の学生たちにとっても、大学という場を相対的に見るための良い機会となりました。
高校生には、専門を学ぶことの雰囲気を伝えることができたと考えています。新磯高校の先生方からは、普通高校と美大との陶芸教育の違いについて貴重なご意見をいただきました。

■成果
【第1回 打ち合わせ】
日時:平成21年4月30日(木)16:30〜19:30
場所:女子美術大学、工芸学科研究室
平成21年度活動予定を検討、前期活動計画を立てました。

【第2回 新磯高校の先生方からのレクチャー、打ち合わせ】
日時:平成21年6月16日(火)14:00〜17:00
場所:女子美術大学131教室、工芸学科研究室
パワーポイントを使って「普通科高校における陶芸授業」についてレクチャー、その後学生との質疑に応じていただきました。また、今後の活動内容の確認と検討を行いました。

【第3回 女子美大学院、工芸(陶)の学生によるレクチャー】
日時:平成21年7月1日(水)13:25〜17:00
場所:神奈川県立新磯高等学校 陶芸実習室
本学大学院生によるスライドレクチャーを行いました。ひとりの学生が中学時代から現在に至るまでの作品をスライドで写しながら、美術教育の中でどのように成長してきたかを示した上で、最近の作品の発想と制作技法について、実物を見せて説明しました。最後に、教員間でレクチャーの方法と効果について感想を述べ合いました。

【第4回 女子美陶コース3年次の合同講評】
日時:平成21年7月21日(火)13:00〜17:00
場所:女子美術大学、工芸学科陶コース実習室
本学3年次の前期講評会に新磯高校が参加しました。3年次学生の4月〜7月までの進展状況を一人ずつ提示し、それに対しての意見の交換を行いました。本学の3年生は、自分の制作テーマや制作プロセス、作品の変遷などについて作品をもとに高校生に説明しました。説明後、高校生の質疑などにより、自分の説明が的確であったかを確認しました。高校生にとっては、美術を専門に学ぶという具体的な状況に触れて、高校での美術活動についてもう一度考えてみる機会となりました。出席者全員にそれぞれの学生作品についての簡単なレポートを書いてもらい、専門外の人たちを含めたかたちで、作品の良い点と問題点を指摘してもらいました。

【第5回 女子美陶コース4年生によるレクチャー】
日時:平成21年9月1日(火) 13:10〜16:30
場所:神奈川県立新磯高等学校 陶芸実習室
本学4年次学生によるスライドレクチャー。学生の高校時代から現在までの作品をスライドとファイルで見せ、それぞれの時点での制作について説明しました。その後、作品(実物)を見せ、質問に答えました。自分の発想でテーマを決めて、技法を工夫しながら作品を完成させるという、制作プロセスを伝えました。

【第6回 女子美祭作品鑑賞】
日時:平成21年10月24日(土) 10:00〜12:30
場所:女子美術大学 相模原校舎
新磯高校の先生方と生徒が女子美祭を見学しました。女子美祭では授業で制作した作品が学年別に展示されているので、本学の美術教育を作品を通して理解していただきました。特に工芸学科の展示場では本学学生が解説をし、高校生が制作者とじかに触れ合う機会を作りました。

高校生と大学生が陶芸を通してコミュニケーションをとり、美術を学ぶことについて自発的に考えを深めていくようになりました。高校生にとっては、大学生の作品と考え方を本人から生で伝えられることによって、数年先の自分の未来を実感を持って感じ取り、考える良いきっかけになったと思います。大学生にとっては、自らの考えをわかりやすく他者に伝えるということについて、実践的に学べる良い機会となりました。

■今後(22年度)について
今後の課題としては、1.参加人数をふやす。2.共同制作の可能性を探る。3.高校生がプレゼンテーションをする。など、検討していこうと思います。また、今年度にあまり話し合えなかった設備面については、来年度に検討していきたいと考えています。

付記
11月から3月までの期間に活動が計画されなかったのは、新磯高校がこの時期に移転準備で忙しくなるためです。新磯高校は、来年度から相武台高校と合併し、相模原青陵高校という新しい高校になります。その際校地が現在の相武台高校になるため、陶芸窯などの大掛かりな設備移転をしなくてはならないので、11月以降の活動は行わないことになりました。        
尚、合併後も引き続き協力関係は継続し、来年度からは、相模原青陵高校との陶芸コラボレーションを行うことになりました。

1 - 新磯高校先生のレクチャア 2 - 3年次合同講評会 3 - 3年次合同講評会 4 - 作品について質疑応答する 5 - 大学院生によるレクチャ 6 - 大学院生によるレクチャの様子 7 - 発表に生徒も聞き入る 8 - 4年生による作品プレゼンテーション 9 - 4年生による作品レクチャ 10 - 新磯高校生と共に女子美祭を観賞
トップへ戻る
前ページ次ページ