実施期間:平成18年4月〜継続中
参加学生:工芸学科、ファッション造形学科 その他
担当教員:工芸学科 大澤美樹子
場所:本学相模原キャンパス、その他
【実施プロジェクト】
*注染手拭いプロジェクト
*注染B反プロジェクト
【注染手拭プロジェクト】
■プロジェクトの概要
ぬぐいプロジェクト 参加学生数 32名
注染は主に手拭や浴衣を染める日本伝統染色でありますが、この染色法を大学美術教育に取り入れているのは、本学工芸学科が唯一です。授業では主にデザインと素材を重んじた広幅の布に染色を行っています。工芸学科染の有志学生はこれを活かして、注染では不可能とされる布素材の実験を行い、社会における注染布の可能性や応用性を広げる試みると同時に、伝統技法を学び、美大生の自由で新鮮なデザイン柄による手拭の研究発表を行ってきました。
■成果
工芸学科・染の学生は、天然繊維24種の布に染色実験を行った後、ウールモスリンと現地視察したインドネシア手紡手織木綿布に素材をしぼり込み染色、東京と大阪の産業試験所で実用化に向けての染料繊維検査を行いました。一方では、手拭のデザインから染実習までを全員が体験した後、業者と講師を交えたコンテストを行い、総制作数74点の中から14点を選び、これを工場で染色、製品化しました。染の学生は素材を学び、絵画やデザインの学生は染独自のデザイン表現を体験し、専門家を通してデザインの社会性を学ぶことができました。
【B反手拭プロジェクト】
■プロジェクトの概要
b・tanぬぐいプロジェクト 参加学生数 15名
毎年、見学授業を行う注染工場には、僅かな染や織キズの為、製品にならず処分されてしまうB反と呼ばれる手拭があります。日本伝統染色・注染と熟練職人の技術、素材の良さを考えるともったいない事です。これを美大学生のデザインセンスによって、新たに蘇らせ、社会との関わりを生み出し、製品化に向けることを目的としました。
■成果
参加学生全員で注染工場を見学し、日本伝統職人の技と製造工程や布素材を学んだ後、各自のアイディアで総数45点のB反布の作品試作をしました。その後、業者と講師による講評会を開き、NPOの助言も得て、製品化に向けて7点を選びだしました。学生が試作を行いながらより質を高めてゆき、パッケージやロゴマーク等も試作することで製品の見せ方を専門家から学びました。現在、作品の製品化は進行中です。その一部は卒業生が所属する知的障害施設の協力を得て行われています。日本伝統技術と素材を活かした学生のアイディアが現代に即した製品となることは、プロジェクトに関わる全員が社会的責任の自覚をすることができると同時に喜びでもあります。