実施期間:平成15年4月〜継続中
参加学生:ファッション造形学科 約30名
担当教員:ファッション造形学科 小倉文子
場所:本学相模原キャンパス、その他
■プロジェクトの趣旨・目的
学生たちが日本の各地域に伝わる伝統繊維・染料について調査研究し、その知識と技術を学ぶことを目的に活動を行っています。また、伝統繊維・染料について、現地でのフィールドワークによる調査活動を通じて、その地域に暮らし、技術を伝承する人々との交流が生まれました。そして、日本文化に接する機会を得ることを目的とした重要な学びの機会となりました。本プロジェクトでは、新潟県に伝わる「アンギン」、岩手県の「ウール」、沖縄県の「芭蕉」などの糸素材を調査するとともに、それぞれ糸の原料から布へと紡ぐことを体験しました。一方、「バラ」「栗」「蓼藍」「こぶな草」などの草花や果物、「漢方の薬草」などから染料を抽出し、染料素材の探求をしながら、色見本帳の制作や「糸・布・衣」についての新たなデザインの提案を試みました。
■活動成果
「糸・布・衣」の原点を探る研究の中から、日本の風土、暮らしや生活が見えてきました。若い学生たちが体験や想像することができない一日の生活サイクルを知ることができた時、始めてアジアの片隅で、土とともに暮らし海に囲まれたこの島国のあり様が見えてくるようです。そういう環境の中で育まれた現地の人々の考え方や、産み出される伝統繊維・染料を再認識し、新しい価値の発見や気づきを獲得しました。
本来の国際化とは、自国の文化を知ることから始まります。自分たち存在ルーツを辿り、先人たちの知恵や創意工夫の根源を知ることは、クリエイティブな仕事をする上で大切な要素となります。デザインや、クリエイティブな仕事とは、日常の暮らしの中から生まれるものであることに学生たちが気づく良い機会となりました。また、地域のお年寄りやこどもたちと触れ合うなかで、挨拶、御礼に表される日常生活での感謝、尊敬の思いなどを再認識し、「要望」や「依頼」などの、言葉と文字によるコミュニケーション、伝達の重要性についても理解する体験となりました。
【パフォーマンス&ファッションショー「バラバラのバラ」】
日時:平成22年9月22日(水)17:30〜
場所:女子美術大学13号館テラス
バラから染料を抽出し、染色した布から衣服制作を行って、パフォーマンス&ファッションショーを開催しました。音響などを含むすべての演出も学生が企画進行し、当日のヘアメイクは(株)資生堂SABFAの方々に協力を得るなど、完成度の高いパフォーマンス&ファッションショーとなり好評を得ました。